戸籍を持たず、学校に通った経験もない少年タロウと、彼の仲間である高校生のエージ(菅田さん)、スギオ(仲野さん)が奔放に生きるある日、偶然手に入れた拳銃によって、目を背けていた過酷な現実と向き合うことに…。大森監督が20年以上温めていた企画が、モデルとして脚光を浴びるYOSHIさんとの出会いを機に、念願の映画化が果たされた。
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「僕としては、とにかく見てもらえることで、映画が完成した気分」と大森監督は感無量の面持ち。菅田さんが「映画の評判も“賛”と“否”で、ちょうど50/50らしくて。絶好調だなと(笑)」と語ると、「それに一喜一憂している。作り手ってそういうものだし、“否”の意見を見ると、頭ではいいんだけど、体は『なんでだよ』って反応して(笑)。でも、意見が聞こえることが大切」と多様な意見にオープンな姿勢を示していた。
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YOSHIさんも「無事に公開され、こうやって、こんだけの人に囲まれて、だいぶ幸せ。おれはそんな感じです」と天真爛漫なコメント。実際には「結局、ガチガチ」だと緊張していることを明かし、苦労したシーンを問われると「最後に泣くシーンですね。自分的に、泣くことっていちばんダサいと思うんで、(演じる上での)心の決心が大変だった」とふり返った。本作については「体でFeelして!」とアピールしていた。

現場で泣こうと悪戦苦闘するYOSHIさんに対し、菅田さんは「緊張をほぐすために、一緒にサッカーとか野球とかをさせられて(笑)。でも、あの奮闘をしている姿はかっこよかった」と健闘を称え、「カメラの前で心の底から笑うことは、まあないですよ! 3人の時間が、一瞬の青春のような感じで」。さらに、本作を見た母親から電話があったと明かし、「母として息子に『わたしにも、見て見ぬ振りをしていたことがあった』と語ってくれました」と話していた。
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