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ときは1980年代。冴えない英会話教材のセールスマン・村西(山田孝之)は、先輩のアドバイスによって売上トップに輝くも、突如、会社が倒産。挙句の果てに妻の不倫現場に遭遇してしまう。失意の底でトシ(満島真之介)と出会った村西は、「エロは金になるんだよ」の言葉を受け、性欲を金に換える仕事に勝機を見出す。ビニ本、アダルドビデオと当て、時代の寵児となっていく村西だが競合他社や警察は、彼を放ってはおかなかった。
今回は、漫画家・峰なゆかに、「アラサーちゃん」などで女性の恋愛・性事情を描いてきた峰さんならではの視点で、「全裸監督」について語ってもらった。
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――全8話をご覧になったとのことで、いかがでしたか?
面白かったです。観る前は「8話もあるの!?」と思っていたんですけど、続きが気になって1日で一気見しちゃいました(笑)。まさか村西さんを主人公にするとは思ってもみなかったですし、テレビ局だとやりづらいテーマだろうから映像化に驚きました。
――特に好きなシーン、登場人物などは?
トシちゃん(満島真之介)がすごく好きです!最初は、ラブホテルで盗聴した音源を売るただのチンピラだったのに、村西さんに忠誠を誓う子分になり、どんどんヤクザ方面に変わっていって。私、アホっぽい感じのキャラクターが、アホじゃない人間にならざるを得ない…という展開が、すごく好きなんです。うまく描かれていたと思いました。
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――森田望智さん演じる黒木香は、本作に登場するほかの女優とはやや違う描かれ方をされていますよね。
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そうですね。黒木さんは、村西さんに若干、恋愛感情的なものがあるわけじゃないですか。ワキ毛を受け入れた瞬間に、普通の監督、女優以上の関係性があるわけなので。だから、黒木さんは、村西さんのいう「ありのままの自分を見せる」ことが普通にできた、珍しい例だと思うんです。すごく幸運なパターンだな、と感じました。
――舞台となった80年代バブルの日本については、どう思いましたか?
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私はリアルタイムの世代ではないんですけど、懐かしさは感じます。建物の美術もこだわっていましたし、トシちゃんの変な柄シャツ(笑)とかの服装を見るのも毎回楽しみで、演出がとにかく細かかったですよね。一方で、基本的な人間関係については、今とあまり変わらないんだなと思いました。村西さんのメーカー内で、みんなで手作りのご飯をひとつの机で食べるシーンが結構出てきたじゃないですか。きっと、お給料とかもそんなに出ていない中、みんなが「村西さん」という人を信じて、一致団結しているんですよね。昔も今も変わらず、経営者のカリスマ性があってこそ成り立つ空気はあると思います。
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――現在、全世界190か国に同時配信されていますが、世界に観られている事実をどう受け止めますか?
前々から、「なぜクールジャパンにAVが含まれていないの?」と思っていたんです。日本独自の文化で、大きい規模で動いている事業なんだから、もっと世界にいっていいと思います。アジア圏で一番多くAVを撮っているのはおそらく日本だろうから、実際どんなふうに作っているのかを世界の人が観たら、なおのこと面白いのかなと思います。
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――令和のいまに、この作品が配信されることについてはどう思いますか?
昔は、観る側の人間が今より真剣だったと思うんです。VHSは1本1万円くらいと高いから、誰もが失敗したくないんですよね。だから、レビュー記事を読んで、高得点のVHSを買って、何度も何度も一生懸命観ていたわけなんですよ。でも、今は無料の動画もあるし、「1回観たら終了」という感じで、観る側が真剣ではない。撮る側は、昔も今も変わらず真剣にやっているので、ここら辺で撮る側と同じくらい、「もうちょっと真剣に観てみようかな」という気持ちになってもらえるといいですよね。
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――最後に、改めて峰さん的見どころを含めて一言いただけますか?
「全裸監督」の見どころは、セックスシーンではないことを強くお伝えしたいです! 予告編ではセックスシーン的なものも多いので、とっつきづらいというか、「そこくらいしか見どころがないの?」と思う方もいるかもしれないんですが、男社会の友情、裏切りあたりが特に面白いところなので、食わず嫌いせず門をたたいてほしいです。
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Netflixで「全裸監督」を見る
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峰なゆか
アラサー世代の女性の恋愛観を冷静に分析した作風が共感を呼び各誌で活躍中。代表作は「アラサーちゃん無修正」「女くどき飯」(扶桑社)。共にテレビドラマ化されている。
<提供:Netflix>