1つは「WOMAN IN MOTION」というもの。「me too」以来ジェンダー議論が活発になっていますが、カンヌはそのあたりにとても積極的で、去年早々に映画祭として「5050by2020」(エンタメ業界で働く女性、多人種、LGBTなどの人々の公平な雇用を求めるムーヴメント、2020年までに50:50にという意)に賛同の意を表していたりして、2015年からファッション業界の大手コングロマリットであるKering(カンヌのオフィシャルスポンサー)と組んで、その年に活躍している女性に賞を贈って、さらにその選ばれた女性が才能のある若い女性を選んでその女性にも賞を贈るということを行っていて、それが「WOMAN IN MOTION」です。そのトークに行ってきました。
映画のジェンダー研究における権威の南カリフォルニア大学の女性教授Stacy L. Smithを招いてのパネルディスカッションで、とても刺激的で参考になりました。ハリウッドは女性も活躍しているイメージがありましたが、実際は会社の上層部にいて決定権を握っているのは男性が81%で、映画監督は96%が男性だそうです。ちなみに、今年のカンヌは審査員の人員構成に関しては短編部門以外は見事に男女半々となったそうです。
もう1つはアニメの映画祭として有名なアヌシー国際アニメーション映画祭とのコラボレーションで行われたアニメーション作品のWORK IN PROGRESS(制作経過報告)の講演「ANNECY GOES TO CANNES」。現在制作中の5本のアニメ映画の監督やプロデューサーなどを招いて各作品のメイキング映像を見せていくもので、3DCGアニメ、アート系アニメ、ストップモーションなどあって、とても面白かったです。特に「SAMSAM」というフランス&ベルギーの3DCGアニメでは、メイキング映像が各制作スタッフに子どもが「なにやってんの?」といった形でインタビューをしていくものになっていて、面白かったです。スタッフも子どもに聞かれているから、とても分かりやすく説明してくれるんですよね。日本でもこういうメイキングがあってもいいのになぁ。