『Pain and Glory』 (ペドロ・アルモドバル監督/スペイン) アルモドバル新作は、ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスの2大スター競演。とはいえ、単なるスター映画であるはずもなく、「過去が現在に侵食してくる状況において人生の決断をふり返る映画監督を描く」ということで、どうやらアルモドバルの自伝的要素を含んだ内容のようです。
英題は“Oh Mercy!”で、「慈悲を!」くらいの意味ですが、フランス語の原題が“Roubaix, Une Lumiere”で「ルーベー、ある光」という意味になります。ここまで英題と仏題が異なるのも珍しいですが、宗教的な視点を意識して見るべきかもしれません。ちなみに、ルーベーはデプレシャン監督の出身地でもあり、様々な深読みを誘発しそうであります。
『Matthias & Maxime』 (グザヴィエ・ドラン 監督/カナダ) グザヴィエ・ドラン、『たかが世界の終わり』(16)以来3年振りのカンヌです。前作『The Death and Life of John F. Donovan』は、カンヌやヴェネチアなどには出品されませんでしたが(トロント映画祭でプレミア)、日本公開が待たれているところです。
『Portrait of a Lady on Fire』 (セリーヌ・シアマ監督/フランス) セリーヌ・シアマ監督は日本でも公開された処女長編の『水の中のつぼみ』(07)がカンヌ「ある視点」部門に出品され、いきなり高評価を獲得しています。2作目『トムボーイ』(11)はベルリン映画祭「パノラマ」部門のオープニングを飾り、フランス国内でスマッシュヒット。3作目の『ガールフッド』(14)はカンヌの「監督週間」のオープニングでした。
『It Must be Heaven』 (エリア・スレイマン監督/パレスチナ) 今年のカンヌのラインアップを調べていて最も驚いたことのひとつが、エリア・スレイマンはなんと本作が(まだ)長編3作目であるということ。パレスチナを代表する映画作家のひとりとして長年存在してきた印象が強いけれど、オムニバス作品の一遍を監督したり、役者をしたりなどの時期が実は長く、長編監督としては、日本公開もされた『D.I.』(2002)、『The Time that Remains』(09)に続き、本作が10年振りの3作目ということになります。
『Mektoub, My Love: Intermezzo』(アブデラティフ・ケシシュ監督/フランス) ケシシュ監督、『アデル、ブルーは熱い色』(13)で天下を制してから6年ぶりのカンヌコンペ復帰です。ヴェネチア映画祭でプレミア上映された前作『Mektoub, My Love: Canto Uno』(17)が3部作として構想されている青春サーガの第1部であり、今回の新作が第2部という位置付けであるはずです(第3部が作られるかどうかは完全には確認されていない)。