舞台は香港のはずれにある、漁村。そこで暮らすある少女は、太陽の光を浴びるとやせ細ってしまうと父親に言い聞かせられて育ち、透き通るような白い肌の持ち主だった。ある日、漁村に1人の男がやってくる。この異邦人と出会ったことで、少女の世界は広がっていく。
白い肌を持つ少女役を演じるのは、アンジェラ・ユン。その東洋的な美しさで、次世代のアジア人女優としての注目が集まっている。また異邦人の男役は、オダギリジョーが演じる。どこからともなくやってきた謎の男という役柄を、独特のミステリアスな雰囲気と持ち前の演技力で演じきって見せた。幻想的なシーンの中で、少女の異邦人の出会いが描かれる。
撮影監督を務めるC.ドイルは、『恋する惑星』や『花様年華』などのウォン・カーウァイ監督らとタッグを組み、90年代からの映画界を牽引してきた。最近では、アレハンドロ・ホドロフスキーとともに製作した『エンドレス・ポエトリー』が話題となった。まさにこの『宵闇真珠』は、どこか懐かしい90年代の香りが漂いつつも、新しさも感じる作品となっている。

公開された予告編では、「誰もがこの物語の主人公だ。自分の存在に疑問を抱き、誰かに認められたい…そんなあなたの映画」というC.ドイルのコメントから始まる。圧倒的な映像美とともに映し出される幻想的なシーンの数々。オダギリジョー演じる異邦人が少女に「僕に似てる」と話しかける。そんな2人のやりとりを垣間見ることができる。
また同時に日本版ポスターも公開された。真珠の首飾りをして横たわる少女と、舞台である香港の漁村をバックに遠くを見つめる異邦人・オダギリジョーが印象的だ。「私のお城を見つけたのは、見ず知らずの旅人だった」というコピーは、さらにこの作品のミステリアスな魅力を助長させるものとなっている。
『宵闇真珠』は12月よりイメージ・フォーラムほか全国にて公開。