早くも観た人を夢中にさせている様子の本作。しかも今回は、誰もが浮き足立つ“ハレの日”、結婚式が舞台だ!

世界中の心をつかんだ『最強のふたり』監督コンビ&製作スタッフの最新作
あの『アメリ』を抜いて日本で最もヒットしたフランス映画となり、一大旋風を巻き起こした『最強のふたり』(’11)は、車いす生活を送る偏屈な富豪と介護人として雇われた陽気なアフリカ系青年との“ギャップ”だらけの友情が、多くの共感を呼んだ。

そして、いまや世界中から注目を集める存在となった監督コンビ、オリヴィエ・ナカシュとエリック・トレダノが同作のスタッフと再び放つのは、ベテラン・ウェディングプランナーを主人公に結婚式の披露宴裏で巻き起こるドタバタを描いた極上コメディ。本国では公開1か月で興収25億円超え、『ラ・ラ・ランド』『ダンケルク』といったハリウッド作品を抑えて2017年の年間興収ベスト10入り。由緒あるセザール賞では作品賞、監督賞などにノミネートされ、世界51か国で大喝采を受けている。

トレダノ監督は本作が生まれたきっかけについて、2015年に起こったパリ同時多発テロを乗り越えるためにも「純粋に騒いで楽しめる雰囲気の映画を作りたいという欲求にかられた。心から笑えて、楽しめることを必要としていたんだ」と明かしている。
優しさに満ち溢れた人生賛歌!“セラヴィ”は幸せの合言葉
舞台となる結婚式の披露宴といえば、緊張気味の新郎新婦や親族、個性豊かなゲストが一堂に会するだけに、何かと“事件”が起こりがち。また、フランスでは新郎新婦主導でゲストをもてなす完全オーダーメイドのパーティが基本で、飲んで食べて、踊って騒いで、日本のように形式張っていないのも特徴だ。

だからこそ、本作の主人公マックスのような、この道30年のウェディングプランナーは腕の見せどころとなるのだが、彼は、中世のお城を貸し切って行われる豪華絢爛な披露宴を前に頭を抱えていた。自分大好きで、当日になってもあれこれ口を出す面倒くさい新郎に、情けないほど頼りないウェイターやキッチンスタッフたち…。さらには冷蔵庫のプラグが誤って抜かれ、メインディッシュが台無しになる、というトラブルも発生してしまう!

それでも、マックスたちはチーム一丸となって、この日を前途ある2人の人生最良の日にするべく奮闘を続ける。そもそも映画のタイトル「セラヴィ」とは、「まぁ、これも人生さ!」という超ポジティブ精神を示す言葉だ。どんなトラブルだって何とかなる、そんな大らかさと愛に支えられ、全てが丸く収まっていく予想外のラストは清々しいほどに気分すっきり。
主題歌「君の瞳に恋してる」の爽やかさも相まって、こちらまで“すてきな結婚式”に参列したように心地よく、明日への活力を与えてくれる。
疲れた心に沁み入る!笑ってほっこり、“誰かと一緒に観たい”映画

実はナカシュ&トレダノ監督は、駆け出しのころにウェイターのアルバイトをしていたこともあり、2人の鋭い観察から生まれた“ハレの日”の裏側のリアルな人間模様や、1人1人のキャラが立った“クセが強い”スタッフの言動には終始、笑いが止まらない。もちろん、『最高のふたり』にも通じる人間愛たっぷりのユーモアで、現代社会への風刺を包み込んでいる点も見どころだ。

例えば、演技派俳優ジャン・ピエール=バクリ演じる主人公マックスは、自由すぎるスタッフに厳しく接するベテランプランナーでありながら、自身の結婚は破綻寸前。近々、引退も考えている。経費削減で無許可の臨時雇用が多いため、背広姿の男を見たら「お役所の人間か?」とドキッとすることも。
また、ダメ男がハマる個性派ヴァンサン・マケーニュ演じるジュリアンは、仕事もそっちのけで思いを寄せていた元同僚の花嫁にべったり。人気渋オジ俳優ジル・ルルーシュ演じるバンドマンのジェームズは、マックスの右腕アデル(アイ・アイダラ)と何かと衝突するが、次第にお互いの長所が見えてくると、まさかの恋の予感!?
そんな悲喜こもごもの出来事が裏方にも巻き起こる1日は、泣いたり、笑ったり、息つく暇もない。大切な誰かと一緒に分かち合いたくなる、驚きと感動の連続なのだ。
〈提供:パルコ〉