そんな彼女が「本当に苦悩しました」と撮影後語っていた『覆面系ノイズ』がDVD&ブルーレイとしてリリースされる。中条さんにとって非常に思い出深い本作で、いったいどんなことを得たのだろうか。
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■苦悩した『覆面系ノイズ』の現場が女優としての成長に!
福山リョウコの人気コミックを実写映画化した『覆面系ノイズ』。中条さんは一度聴いたら忘れられなくなる声の持ち主の女子高生・仁乃を演じたが、本作でメガホンをとった三木康一郎監督は、中条さんに対して「こうしてほしい」という演出はほぼ一切出さなかったという。そこには「仁乃という役柄は少しおどおどしながら演じるのが正解だと思った」という監督なりの明確な意図があったのだが、当時中条さんは、「困惑した」と語っていた。

しかし、公開から半年たったいまでは「現場にいたときは、監督がなにを考えているのかわからずに悩んでいましたが、時間がたって冷静に考えると、見えてくることも多かった」と女優として苦悩した日々が、自身の糧となっている実感があるという。
現在、中条さんは『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』でメガホンをとった河合勇人監督と新作映画の現場を共にしているというが、「河合監督から“『チア☆ダン』が終わってからなにかあったの? 以前はおどおどしていたけれど、いまは頼もしい部分が見える。すごく根性がついたよね”と言われたんです。そのとき“あー、『覆面系ノイズ』の経験がプラスになっているんだな”と思ったんです」と笑顔をみせる。
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■苦手克服で、自分に自信が持てた!
さらに『覆面系ノイズ』では、自身が「苦手だ」と避けてきたという歌にも挑戦し、劇中、見事な歌声を披露している。前作の『チア☆ダン~』でも、不得手だと敬遠してきたダンスに挑戦し、その魅力に気づいたという中条さんは、作品ごとに、自身でも気づかなかった自分を発見し、人として、女優として自身を高めている。
こうしたことはコミュニケーションの場でもプラスになっているという。中条さんは「もともと人と話すのが苦手で、現場でもなかなか会話ができなかったのですが、最近は“人見知りの時間”が短くなってきました。初めて会った人でも、割と早く自分の素を出せるようになりました。こういったことも、いろいろな作品で苦手を克服したことによって、自分に少し自信が持てるようになったからかもしれません」と分析する。
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役に対するアプローチ方法も少しずつ変化していった。個性的な役柄を演じることが多い中条さんだが「いままでは自分の考えるキャラクター像に寄せていく作業が多かったのですが、いまはまったく自分と違う役柄の場合は、潔く割り切ることができるようになった気がします」と自身の成長を実感しているという。
■主演としての自覚!「自分の態度で相手に影響を与えてしまう」
女優活動を始めて約5年の歳月が流れた。その間もモデルとして雑誌の表紙を飾ったり、数々の大手クライアントのCMで、さまざまな顔をみせたりと幅広い活躍がうかがえる。こうした現状に、中条さんは「バランスよくお仕事をさせていただけていることは奇跡だなと思うんです」とやや謙遜気味に語ると「10代のときとは考え方も変わりましたし、自分らしさを出しつつも、プロとしてしっかりお仕事ができているかは常に気にしています」と現状に満足しない貪欲さもみせる。
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自分らしさとプロ意識――。ややもすると、相反する方へ向かっていってしまいそうな心掛けだが「この仕事は普通のお仕事ではない部分があり、楽しいことがあれば大変なこともあります。そこは自分の感情と、自分だけの感情ではないという両方の思いをくみ取って、一つ一つ丁寧に取り組んでいこうと心掛けています」と中条さんは語る。
その一つの思いが、主演として現場に臨むときの姿勢だ。以前は「自分のことで精いっぱい」と語っていたが「いまも映画の撮影に入っているのですが、そこには現場が初めてという新人の子もいたりします。自分の一つの態度で、その子の作品への印象も変わるだろうし、女優というお仕事への思いも変わってしまう。まだ現場を引っ張るようなことはできませんが、自分の行動が、相手に大きく影響するんだという自覚を持って臨んでいます」と責任感が増した。
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クランクインし、撮影が終わる。そしてプロモーション活動、公開…という映画の流れのなか、多くのことを学んでいるという中条さん。『覆面系ノイズ』はこうした過程を経てパッケージング化される。「寂しいです」とつぶやくと「正直、ほかの作品にも入っているので、『覆面系ノイズ』からは遠のいてしまっている部分はありましたが、パッケージング化されるというのが作品の最終形というイメージがあるので『もう携わることがないんだ』という寂しさはあります」と強調する。
「これまでの映画すべてですが、そのときの自分でしか表現できないようなものが、たくさん詰まっています」と中条さんは神妙な面持ちで語ると「私はこの作品で仁乃という女の子を演じて、共感してもらえるだろうかという思いやネガティブな考えも、自分の行動次第で、いくらでも人の心を動かすことができるんだと、強く実感しました。観ていただいた人にも、そういった思いを感じてもらえたらうれしいです」と熱い思いを語ってくれた。
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スタイリスト:岩田巧/ヘアメイク:佐々木恵枝(sylph)
ブラウス、パンツ、ピアスともにPAMEO POSE