上映終わり、間髪明けずに、13時30分から「ある視点」部門の『Murder Me Monster』という作品へ。アルゼンチン産のアート系ホラー作品で、これがかなりキテレツな怪作だった! 辺境の地で女性の首なし死体が見つかり、姿をくらましていた地元の男が捕まるが、果たして彼が犯人なのか、それとも噂されるモンスターが存在するのか…、という物語。
19時に上映に戻り、「スペシャル・スクリーニング」部門でブラジルのカルロス・ディエゲス監督新作『The Great Mystical Circus』へ。上映前に監督が登壇して挨拶。その挨拶の中で、ディエゲス監督も名を連ねるブラジルの映画運動「シネマ・ノーヴォ」の中心人物であったネルソン・ペレイラ・ドス・サントス監督が4月21日に亡くなったことに触れ、不覚にも知らなかった僕はとても驚いてしまった。そうだったか…。ドス・サントスはゴダールの2歳年上で、享年90。アテネ・フランセで追悼特集が行われますように。
『The Great Mystical Circus』は、20世紀頭から21世紀まで100年に渡りサーカス一座を運営する一族の物語。世代ごとにチャプター分けがされて、次々に主人公が交替していく構成がとても楽しい。硬軟取り混ぜたファンタジー風味がたっぷりで、ヴァンサン・カッセルを始めとしてブラジンの役者陣もナイス。期待以上の面白さで大満足。
そして22時から「批評家週間」部門に出品されているベネディクト・エルリングソン監督新作『Woman at War』(写真)へ。『馬々と人間たち』で東京国際映画祭の監督賞を受賞したベネディクトの待望の新作だ。実は監督とは一昨日に4年振りの再会を果たしていて、熱いハグを交わしたばかり。そして、親しい監督の新作を見るのは心配と緊張が混じり合って大変なのだけれど、そんな懸念を吹き飛ばす快作だった!