気を取り直して、11時からアルゼンチン映画で『Theatre of War』を見る。フォークランド紛争で戦った英国とアルゼンチンの元兵士たちを数名集め、当時の記憶を語ってもらった上で、いくつかの出来事を寸劇や芝居で再現してもらうアート作品。これがまったくダメだった。アートで戦争を語るのは良いけれど、アートのために戦争を利用するのはいかがなものかと思わずにいられない。監督のコンセプチュアルなアート遊戯に付き合わされている元兵士たちが気の毒だ。
16時半から『Sureyya the Kitman』というトルコ映画へ。ドキュメンタリーのコンペ部門にノミネートされている作品だ。トルコの有力サッカークラブ「ベシクタシュ」の名物的存在である用具係の男性にスポットを当て、彼がいかに魅力的な人物で、いかに長年クラブに貢献しているかを称える内容。本人の語りに加え、幾人ものスター選手や関係者の証言を交えていく。面白いのは、若い時には映画業界で仕事をしており、ユルマズ・ギュネイ監督とも親交があったこと。サッカー・ドキュメンタリーと思いきや、映画と繋がっているところが興味深い。
15時から、今度はトルコ映画製作者による「Work in Progress」のプレゼンテーションが組まれている。現在仕上げ作業中の作品が、最後の資金集め、あるいは映画祭への出品の縁を求めて行うプレゼンで、6本の作品が選ばれている。それぞれ監督とプロデューサーが登壇し、10分間の映像を見せ、そして映画の内容や作業段階について説明をしていく。