『ファントム・スレッド』5月26日(土)公開。先日発表された 第90回アカデミー賞にて衣装デザイン賞を受賞した『ファントム・スレッド』。1950年代ロンドンのオートクチュール界を舞台に、仕立て屋レイノルズ・ウッドコックと、若きミューズ アルマが紡ぐラブストーリー。はじまりはただの糸と布。これから、いかようにも姿を変えていける。誰にでも寄り添える可能性を秘めている。それはやがてオートクチュールへ。世界にひとつのドレス。たった一人のため、唯一無二のかたちとなる。頑に自分自身を守り続けてきたレイノルズが、アルマと出逢ったことでみるみる変化していく。彼の心情と、劇中に登場するドレスたちが見事に連動していて美しい。一方で、全くぶれないアルマ。その真っ直ぐさは時に眩しく時に悪夢。彼女の一貫した姿勢が、終始作品のリズムを支配している。悦びと葛藤、ミステリアスで可笑しな世界。他の誰も身にまとうことを許されない、ふたりが輝くためだけに生まれた世界。ジョニー・グリーンウッドの音楽と共に、劇場で是非、のぞいてみてください。