■昨年の“封筒渡しミス”にもチクリ!
レトロな白黒時代のテレビ中継を模したオープニング映像に続いて登場したジミーのモノローグは「今年は、自分の名前が呼ばれてもすぐに立たないでください。また繰り返したくないので」と、昨年の授賞式での作品賞発表ミスについての自虐トークで始まった。
昨年、投票結果を管理する会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の担当者のミスでプレゼンターに間違った封筒が渡され、1度は受賞者として登壇した『ラ・ラ・ランド』チームが正式な受賞作『ムーンライト』のチームをステージに呼ぶという大事件が起きたが、ジミーによるとPwC側は「授賞式において我々がフォーカスすることはただ1つ、正しい封筒を渡すことです」と言ったそうで、「じゃあ、それまでの89年間は何に注意していたの?」とチクリ。
■「MeToo」「Time’s Up」のムーブメントをオスカー像を通して言及
続いて話題はオスカー像へと移り、「オスカーは今夜90歳になります。家でフォックスニュース見てるかもね。いや、オスカーはここに僕たちといます」「オスカーはハリウッドで最も愛され、尊敬される男性です」と紹介。その理由は「彼を見て。(悪さをしないように)両手とも見えるようにしている。暴言も吐かない。そして何より、性器がない」「彼みたいな男性を、この町はもっと必要としているのです」と言いながら、昨秋に起きたハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ行為告発とそれに続いた「MeToo」「Time’s Up」のムーブメントに言及。もう見て見ぬふりをしてはいられない、「物事は良い方向へと変わろうとしています」と語った。
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さらに『ブラック・パンサー』と『ワンダー・ウーマン』の大ヒットを例に挙げて、マイノリティや女性を主人公にしたスーパー・ヒーロー映画は成功しないという思い込みはもう通用しないこと、女性として初めて撮影監督候補になったレイチェル・モリソンを始め、「たくさんの候補者が今夜、歴史を作っています」とハリウッドに起きている変革を示唆した。
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初監督作『ゲット・アウト』で脚本賞を受賞したジョーダン・ピール監督について「90年間で、デビュー作が作品賞、監督賞、脚本賞の候補になった3人目の人物」と紹介。女性として8年ぶりに監督賞候補になったグレタ・ガーウィグ(『レディ・バード』)やティモシー・シャラメが主演男優賞候補の『君の名前で僕を呼んで』、史上最多21回のノミネートを受けて最前列に座るメリル・ストリープら、候補者を讃えた。
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■思わず長くなるスピーチにオモシロ対策!
受賞スピーチについて、社会派メッセージでも両親や恩師への感謝でも「言いたいと思ったことを言ってください」と呼びかけたジミー。その一方で、「とはいえ授賞式は長いですから」と前置きして、「今夜、最も短いスピーチをした人にはこれを…」と、ジェットスキーをプレゼントすると発表。テレビ番組中の生CM風にカワサキのウルトラ310-LXがステージに運び込まれ、ヘレン・ミレンがキャンペーンガールのようにポーズを取った。
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ちなみに今回、スピーチ時間が最も短かったのは衣装デザイン賞を受賞した『ファントム・スレッド』のマーク・ブリッジス。授賞式のエンディングでは、タキシードに救命胴衣着用の姿でジェットスキーに乗って再登場した。
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■嬉しいサプライズ!一般観客たちとの触れ合いも
式全体を通じて、今年はどっと沸かせるジョークは抑えめで、例年以上に社会をとりまく状況や政治的に踏み込んだトークが印象的だったが、中盤では会場内から有志を募り、近くの映画館で何も知らずに映画を見ている一般観客たちをサプライズ訪問するお楽しみ企画も。
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マーゴット・ロビーやガル・ガドット、ギレルモ・デル・トロ監督やアーミー・ハマーらが場内に乱入し、お菓子やスナックを配り始めるという思いがけない“もぐもぐタイム”に観客たちは大興奮。作る側と見る側、映画を愛する者同士の交流が微笑ましかった。
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