見たのは、イタリアのラウラ・ビスプリ監督新作『Daughter of Mine』。地中海に浮かぶサルディニア島の小さな村を舞台に、10歳の少女が実の母親に出会い、誠実な育ての母と、酒にだらしないが奔放で魅力的な産みの母との二人の間で揺れる物語。サルディニアの美しい陽光の中で、リアリズムタッチのカメラが個々の人物の心境を過不足なく描き出していく。
続けて22時からメイン会場に行き、スウェーデンのコンペ作品『The Real Estate』へ。亡くなった父親からアパートマンションを相続した68歳の女性が、居住者との杜撰な契約状況を改善しようとするがうまくいかず、問題の多い住人たちとの関係が過激に泥沼化していくという、ブラック・コメディというか、エキセントリックなアート映画というか、ちょっと分類不能の強烈な作品だ。