静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かして撮影し、連続で投影することによってその物体がまるで動いているかのように見せる映画の撮影技法、ストップモーション・アニメ。昨年度の米アカデミー賞長編アニメ賞&視覚効果賞ノミネート作『KUBO/クボ 二本弦の秘密』が日本でも話題を呼んだばかりだが、今年はアカデミー賞短編アニメ賞に日本人の桑畑かほるが夫マックス・ポーターと共同監督を務めた『Negative Space』(原題)がノミネートされたことで、さらに注目を集めている。
■Negative Space予告
さらに、『ぼくの名前はズッキーニ』『村田朋泰特集ー夢の記憶装置』、5月にはウェス・アンダーソン監督最新作『犬ヶ島』とストップモーション・アニメが続々と公開される。
映像作家・村田朋泰の特集上映!3月17日(土)より順次公開
村田朋泰の新作『松が枝を結び』の完成を記念し、『村田朋泰特集ー夢の記憶装置』が公開に。村田氏といえば、NHKプチプチ・アニメ「森のレシオ」や、「Mr.Children」のMV「HERO」などを手がけ、細やかで情感あふれる造形と、奇天烈で、温かさと哀しさが同居する唯一無二の世界観で多くの人々を魅了し続けている映像作家。
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コマ撮りで風や雨などの自然現象や繊細な動きを表現する制作手法は、映画監督・山下敦弘に「変態」とまで言わしめるほどの徹底ぶり。このたびの特集上映では、最新作のほか、15年におよぶキャリアのなかから選りすぐりの7作品を一挙上映する。
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『KUBO』と賞レースを席巻『ぼくの名前はズッキーニ』2月10日(土)より公開
その村田氏も絶賛コメントを寄せているのが、昨年度の第89回アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネート作『ぼくの名前はズッキーニ』。アナログで素朴な味わいと、ティム・バートンを思わせる個性あふれるキャラクターに加え、孤独な子どもたちが織りなすドラマの素晴らしさが最大の魅力。新たなストップモーション・アニメの傑作がまた1つ、日本に上陸する。
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ベルリン映画祭オープニングを飾る!『犬ヶ島』5月公開
さらに、満を持して登場するのが、ウェス・アンダーソン監督による『犬ヶ島』。日本の架空の都市・“メガ崎市”を舞台に、“犬インフルエンザ”の大流行によって犬たちが隔離された島を描く長編ストップモーション・アニメで、声優陣には超豪華ハリウッド俳優ほか、「RADWIMPS」の野田洋次郎、夏木マリ、村上虹郎、渡辺謙ら日本人キャストも多数起用。第68回ベルリン国際映画祭のオープニング作品に決定しており、コンペティション部門に出品されている話題作だ。
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いずれの作品もアナログとオリジナリティにこだわり、膨大な時間と情熱をかけ、人の手で作り上げられたものばかり。リアルな世界を追求するCGを用いたアニメとはまた異なり、独特の味わいや温もり、制作者の息遣いのようなものまで感じられるのが、ストップモーション・アニメの一番の魅力だろう。子どもから大人までが楽しめる、ストップモーション・アニメは、いま必見だ!