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「“バットマンシリーズ”を撮ったクリストファー・ノーランの演出が好きなんです」と、廣木監督。「『ダークナイト』の有名な病院爆破のシーンがあると思うのですが、あのシーンは本当に病院を爆破してますよね。実際にビルを爆破しながら、それをファンタジーに落としてゆく。そういう演出が好きなんです。実際にリアルにとったものがファンタジーに演出できるということが、映画の持つ魅力だと思うんです。次はファンタジーのオファーがあったらそんな演出をしたいですね」と語り、アメコミ作品でありながら、リアルな撮影に徹底してこだわったノーラン監督が目標であることを明かした。
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その言葉を裏づけるように、本作では、監督はリアルな人間ドラマを大切にしたという。「実は、この作品が僕にとって初めてのファンタジーだったんですが、一番大事にしたことは、まずドラマありきということです。しっかりとした登場人物のドラマがあって、その上でファンタジーにしたいと思ったんです」。『余命1ヶ月の花嫁』や最新作『彼女の人生は間違いじゃない』など、恋、仕事、そして人生に悩む若者の心の機微を描くことを得意とする監督だが、初のファンタジーであっても、やはり人間ドラマを描くことが根幹にあったようだ。
とはいえ、実際の撮影ではファンタジーとリアルの線引きに難しい部分があったようで、監督は「本当にファンタジックな雑貨店にするのか、それともリアルな雑貨店にするのかという選択が難しかった」と言う。「例えば、西田さんの衣装をみても、本当の雑貨屋さんはもう少し地味だと思うのですが、そこにある程度ファンタジー要素を加えることで、あのような少しだけファンシーな衣装になったんです。衣装1つをとっても、何度も話し合いをしました」と、今回のチャレンジへの苦労の一端を明かしている。
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廣木監督は、撮影現場で「俺のファンタジー分野が開けた! ディ○ニーからもオファーが来ちゃうかもな!」とおどけていたそうだが、今後ファンタジーのオファーが増えたら? と問われると「やる気満々ですね!」と笑顔で応じていたとか。そんな監督が描き出す、ナミヤ雑貨店から時空を超えて届く手紙の数々が、この秋、思いもよらない感動をもたらしてくれそうだ。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は9月23日(土・祝)より全国にて公開。