現地の下馬評で一番人気だったロバン・カンピヨ監督(フランス)の、エイズ啓発グループをめぐるドラマ『BPM(Beats Per Minute)』は次点に当たるグランプリとなったが、これもアルモドバルは涙を浮かべながら絶賛。「審査員はみんなお互いを尊重した」と言いつつ、僅差だったことをうかがわせた。また、ウィル・スミスは自分が推した作品が無冠だったことについて「(審査における)民主主義は最低だよ!」と笑わせた。
男優賞は『YOU WERE NEVER REALLY ME』 で、トラウマを抱える殺し屋を演じたホアキン・フェニックス。女優賞は『IN THE FADE』でネオナチに家族を殺される女性を演じたダイアン・クルーガーに贈られた。授賞式で名前を呼ばれたホアキンはしばらく固まってしまうほど驚き、登壇後もオロオロしてからようやく「まさか受賞すると思わなかったから、スニーカーで来ちゃったよ」と語って、会場をドッと沸かせた。
監督賞は『THE BEGUILED』のソフィア・コッポラ。女性監督の同賞受賞は1961年のユリア・ソーンツェワ(『戦場』)以来の快挙となった。また同作と、『THE KILLING OF A SACRD DEER』に主演し、さらにコンペ外作品も含めるとなんと4本もの主演作がカンヌで上映されたニコール・キッドマンには、70回記念賞が贈られた。すでに帰国していたため代理でウィル・スミスがニコールになりきって受賞し、相変わらずの茶目っ気を見せた。
パルムドール『THE SQUARE』 リューベン・オストルンド 70回記念賞 ニコール・キッドマン グランプリ『BPM(Beats Per Minute)』ロバン・カンピヨ 監督賞『THE BEGUILED』ソフィア・コッポラ 男優賞『YOU WERE NEVER REALLY HERE』ホアキン・フェニックス 女優賞『IN THE FADE』ダイアン・クルーガー 審査員賞『LOVELESS』アンドレイ・ズビャギンツェフ 脚本賞『YOU WERE NEVER REALLY HERE』リン・ラムジー、『THE KILLING OF A SACRED DEER』ヨルゴス・ランティモス