9時からコンペ部門のプレス試写で、ホン・サンス監督新作『On the Beach at Night Alone』からスタート。ホン・サンスの多作ぶりには毎度感嘆させられるけど、早々に独自のスタイルを確立し、それを再生産し続けてもクオリティーが落ちないのは一体どういうわけか。飽きのこないマジックを今回も堪能。
続いて12時から、同じくコンペでブラジルのマルセロ・ゴメス監督新作『Joaquim』へ。18世紀のブラジルでポルトガルからの独立運動の先駆けとなり、後に処刑され、現代では国民的英雄となっているチラデンテス(これは通称で、本名はJoaquim Jose de Silva Xavier)が、運動に目覚めるようになるまでの前半生を描く作品。
19時半から、「パノラマ部門」で『Honeygier Among the Dogs』というブータンの作品へ。ブータンに映画産業と呼べるものはほとんど無いはずなので、とても貴重な1本だ。釜山映画祭や香港映画祭が支援元としてクレジットされており、自国だけでなく、辺境を含めたアジア全体の映画を支援していこうとする映画祭の役割の重要性が際立つ。ここはトーキョーの今後の大きな宿題。
21時50分終映で、ただちに会場を移動して22時から「フォーラム部門」の『Crossing the Seventh Gate』というモロッコのドキュメンタリーへ。 Ahmed Bouanani(1938-2011) というモロッコの映画人の活動を振り返る内容で、とても刺激的。あらゆる国にあらゆる映画史が存在する。そのすべてを知りたいし、それが不可能だとは分かっているからこそ、このような作品との出会いはとても嬉しい。