全米で大ヒットを記録したマーベル・スタジオの新作『ドクター・ストレンジ』の日本公開が近づいている。ベネディクト・カンバーバッチ演じる天才外科医が手にした“魔術”が、例年以上の盛り上がりを見せる「2017年アメコミ映画イヤー」の幕開けを飾る。不慮の事故で“神の手”と称された両手の機能を奪われた天才外科医スティーブン・ストレンジが、過酷な修行を経て会得した魔術を武器に、世界の破滅をもくろむ闇の魔術師とバトルを繰り広げる。人知を超えたパワーを題材に、『ハリー・ポッター』や『スター・ウォーズ』に通ずる善悪の危ういバランス、良心の呵責や疑心暗鬼、闇への誘惑をめぐるストーリーが、『インセプション』超えのねじれた時空間ビジュアルでド派手に展開していく。『アイアンマン』の主人公トニー・スタークに負けず劣らず、傲慢で上から目線なストレンジのキャラ造形も、クセがすごい。日本でも人気が高いカンバーバッチが、栄光からの転落、そして復活と覚醒を果たす“新ヒーロー誕生”を華々しく表現した。対する闇の魔術師カエシリウス役に、北欧の至宝の異名をもち、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でデス・スターの設計者を演じたマッツ・ミケルセン。こちらもハマっている。アメコミ映画が日本で苦戦する理由として、「なんだかんだで予備知識が必要でしょ?」という先入観があるが、一見して善悪が判断できるキャラの分かりやすさや、東洋的でファンタジックな世界観など、『ドクター・ストレンジ』には日本人にもなじみやすい要素が多い。「日本よ、これが映画だ。」の宣伝コピーで『アベンジャーズ』が上陸を果たして早5年。試行錯誤の末、徐々に広がりを見せる国内のアメコミ映画人気が、ついに爆発する予感だ。