さらに、パートナーのゲルダが描いたリリーの肖像画、そしてリリーが書いた日記がもとになっている回顧録“Man into Woman”も参考にしたという。「リリーがどんな人物だったのか感覚的につかめた後で、男性としてどう生きてきたのかを知るようにしたんだ。アイナー・ヴェイナーという男性として生きていた時の写真も残っているけど、高い襟のシャツ、きつめのジャケットを着ている。それを見たとき、外骨格“エクススケルトン”のような印象、あるいは改装中の建物を覆う足場のような印象を受けた。リリーがいて、そのまわりに何か別のものを作って、アイナーとして生きてきたと感じたんだ。その一方で、眠っているときなど無意識下では、とても柔らかいしぐさをして、秘めたる女性性が表出していたのではないかという点を意識して演じたんだ」。