16時半から、「フォーラム」部門の一般上映で、ミャンマーのMidi Z監督の新作『City of Jade』。ミャンマーの地味な(失礼)ドキュメンタリー作品なのに、300人はゆうに入る会場がぎっしり満員で、圧巻だ。やっぱりベルリンはすごい。とはいえ、ミャンマー出身で台湾をベースに活動するMidi Z監督は、国際映画祭では既に注目の存在で、会場が満員になるのはベルリンでは当然のことなのかもしれない。
続いて19時10分から、「フォーラム」部門のフランス映画で、ギヨーム・ニクルー監督新作の『The End 』(写真)。ギヨーム・ニクルーは、僕が知る限りまだ日本では未紹介のはずで、しかし現在のフランス映画界で最も旬で、刺激的な存在のひとり。2年前のベルリンでは、人気作家のミシェル・ウェルベックの(実際にあった)失踪事件をフェイクドラマで再現した作品で評判を呼び、昨年のカンヌでは、ジェラール・ドパルデューとイザベル・ユペール共演の夫婦ドラマでコンペ入りを果たし、毎回全く異なる作風で観客を煙に巻いている。
22時から、コンペ部門の一般上映で、カナダの鬼才ドゥニ・コテ監督新作『Boris Without Beatrice』へ。ドゥニ・コテ監督も常々注目している監督のひとり。東京国際映画祭では、2012年にドキュメンタリーの『檻の中の楽園』を上映しているけれど、今回はフィクション長編。経済的に成功している裕福な男が、自らの傲慢さと対峙することになる物語。空間を活かした画面作りを僕は堪能したものの、ドラマ自体にフックが足りないというか、いささか思わせぶりが勝ってしまい、どことなく掴みどころの足りない出来になってしまっていた…。んー、これは少し残念。