1月の下旬から2月の中旬にかけて地中海地方を中心に、スペインの田舎では桜に良く似た薄桃色のアーモンドの花が開花する。特にマヨルカ島はアーモンドの栽培が盛んで花見も見事だ。トラムンタナ山脈の文化的景観が世界遺産に登録されている島中西部の美しい村バルデモサの周辺や、島東部マナコールなどがおすすめ。その他にマドリッドのキンタ・デ・ロス・モリーノス公園や、地中海を見下ろすバルセロナのコイセローラ山脈周辺もこの時期にアーモンドの花で彩られる。ちなみにスペインは世界第2位のアーモンド生産国であり輸出国。アーモンドを原料にしたお菓子が多いのも頷ける。マヨルカを訪れる観光客はアーモンドの開花を眺め感嘆する。地中海の穏やかな冬は年に一度、自然界の絶景を贈るのだ。数万本ものアーモンドの木が開花すると、田園と山々の風景はおとぎ話の描写のように変化する。樹木は白とピンク色の限りない彩りでいっぱいになり、この数日間はマヨルカ島の最大の観光名所となる。この島の各所にアーモンドの木は見られるが、特におすすめなのは、シエラ・デ・トラモンタナのマラシ、ブンヨナ、サンタ・マリア、センセジェス、ジョセタやセルバなどが名高い中西部だ。そしてもう一ヶ所は、マヨルカ島の頭部に位置するマナコール市にあるサント・ジョレックとソン・セルベラ。ハイキングや自転車でこの自然現象を楽しむことができるいくつかのルートがあり、レンタカーもこれらの場所を訪れるには、便利な手段である。さらに、マヨルカ島のアーモンドは、その独自の効能と甘い味で有名。そのまま丸ごと、または炒ったもの、あるいはマヨルカ島グルメの名物デザートに調理されたものをぜひ召し上がれ。また、店や化粧品店では、アーモンドの花と実から作られた製品が購入できる。