佐藤氏が作家として日本で注目されるきっかけとなったアニメーション作品「Calling」のドイツ編(2009-2010 年)では、10年間過ごしたドイツのデュッセルドルフで、12の身近な光景を時間の移ろいも交えて精緻にトレースした作品。一方、ニューヨークで開催された「Duality of Existence - Post Fukushima」展(2014年、Friedman Benda Gallery)の出品作「Calling」の日本編(2014 年)は、ドイツから日本に帰国した直後に遭った東日本大震災、そして間もなく自身と家族を続けざまに襲った病魔との闘いなどを経て生まれた作品だ。今回、ドイツ編と日本編が同時展示されている。同じように周囲の風景をトレースして作り上げられたアニメーションでありながら、映像に浮かび上がってくる表現の違いを見比べることができそうだ。