ドイツの世論が完全にヒトラー崇拝になびく中で、いかにして男は確信を持って世間の常識に抗うことが出来たのか。『Queen of the desert』のガードルード・ベルがそうであったように(Day2のブログ参照)、どうして彼だけが現状を突き破ろうとする意識と勇気を持ち得たのか。いまの我々が学べることはあるのか。それとも、時代は「天才」の出現を期待するしかないのか…。これもまたひとつ「現在性」をまとった作品なのだろう。
30分のミーティングを終えて、今回のベルリンで初めて地下鉄に乗り、離れた会場で「パノラマ」部門の上映に向かい、見たのは『Murder in Pacot』というハイチの作品。2010年に起きたハイチの大地震の直後、全てを失ってしまった富裕層の夫婦の姿を描く物語。主演は、クレール・ドゥミ監督作品などでお馴染みの、アレックス・デスカス。