映画『私の男』の完成披露試写会が6月2日(月)に都内劇場で開催され、主演の浅野忠信、二階堂ふみを始め、共演の高良健吾、藤竜也、熊切和嘉監督が舞台挨拶に登壇。北海道紋別での凍えるような寒さでの撮影のエピソードなどについて語った。原作は桜庭一樹の「直木賞」受賞小説。10歳で家族を失った少女・花と彼女を引き取った遠縁の親戚にあたる淳悟が寄り添うように生活し、理屈を超えた愛で繋がっていくさまを描き出す。浅野さんは「40歳になって、いまの自分にしか演じられないと思える役をいただけたと思います。30代はなかなか大変で、どうやって苦手なものを克服していくか? 得意なものを広げていくかなど色々向き合うことが多かったんですが、『40代になったら…』とイメージする部分があった。今回、そうした中で欲しかったもののひとつを貰えたと思います」と充実した表情で語る。二階堂さんは艶やかな着物姿で登場。原作小説を発売してすぐ、中学生のときに読み、さらに本作の撮影の2年ほど前に熊切監督と出会い「熊切監督の現場に行きたい。絶対にこの人と一緒に仕事をしないといけない」と直感したそうで、本作との出会いを「運命」と断言した。二階堂さんは特に流氷の上での芝居、さらにはその海へと飛び込むという極寒の撮影を体を張ってこなしたが「本物だからこそ出せる臨場感、空気があったと思います」と力強く語っていた。藤さんは、そんな2人を見守る親戚の男性を演じたが、二階堂さんとの流氷のシーンの撮影の危険性について「そりゃ危険ですよ。穴があっちこっちにありますからね。二階堂さんは若いからピョンピョンと歩いてましたが、僕は膝のコンドロイチンが流れ出してギクシャクして来るんですね…」と自虐的に語り笑いを誘っていた。高良さんは、東京に移り住んだ花が出会う青年を演じたが、熊切監督の現場について「自分から『行きたい』と思う現場であり、やっと誘っていただけて楽しかったです。監督から湯気が出ているような感じで『カッコいいな』と思いました」と熱気と緊張感あふれる撮影の様子をふり返った。熊切監督は、決して分かりやすくもなく、かつ軽く楽しめるテイストでもない本作について「文学ではこうした作品が次々と出てくるけど、映画ではなかなか難しい。でも映画も負けてられないですから」と映像化への強い思いをのぞかせていた。“禁断の愛”“禁忌(タブー)”をテーマにした映画にちなんで「人には言えない、破ってしまうタブーは?」との質問に、浅野さんは「全くないですね。僕はすごく真面目ですし、人の手本になる生き方しかしてこなかったですから(笑)」と堂々と宣言!一方、二階堂さんは「悪いとは思ってないんですが、洋服が好きで、いまも引っ越しを考えているのは服が入りきらないから」と洋服を買う欲求から逃げることができないと苦笑交じりに告白していた。『私の男』は6月14日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。