第68回毎日映画コンクールのオープニングセレモニーおよび表彰式が2月13日(木)、神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールほかで開催され、各部門の受賞者たちがレッドカーペットを華やかに彩った。最高賞である「日本映画大賞」に輝いた『舟を編む』の主演・松田龍平さんが男優主演賞を受賞し、「スポニチグランプリ新人賞」には史上最年少9歳での受賞となった『おしん』の濱田ここねちゃん、「女優主演賞」には“世界最高齢での映画初主演女優”としてギネス世界記録に認定された赤木春恵さん(『ペコロスの母に会いに行く』)が選ばれるなど、新たな日本映画史が刻まれる式となった。松田さんは、同役で国内映画賞の数々を総ナメにしており「素晴らしい賞をありがとうございます。なかなか自分が出ている作品を客観的に見られないもので、賞をもらって初めて観てくれた方の反応を知り、喜びを噛みしめている」と挨拶。地味で真面目な主人公“馬締”役を演じ、「辞書を作るという映画なのですが、なかなかその15年の作業は想像を絶するものでした。ただ新しい言葉を見つけるというのは、生まれた頃から誰しもがしていることだと思いながら役を演じました」とふり返った。車椅子で登場した赤木さんは、「一生懸命に自然体で演じさせていただきました。こんな嬉しいことは二度とありません。細やかな残り少ない人生の中で素晴らしい思い出になった」と感無量の面持ちで、会場からは温かい拍手が送られた。久々に“おしん”の衣装に袖を通したここねちゃんは、「1年ぐらい前なので本当に懐かしい。おしんになった気分。これからもおねげえするっす!」とすっかりおしん。初めて親元を離れての長期撮影となったが、「上戸(彩)さんと山形の名物の玉こんにゃくを一緒に食べたことが心に残っている」と思い出話を披露した。昨年6月末からくも膜下出血のため休養していた星野源さんも、『箱入り息子の恋』で演じた内気な35歳の独身男役が高く評価され、ここねちゃんと同じく「スポニチグランプリ新人賞」を受賞。「初めての主演作品でこういう場に呼んでいただけてとても嬉しいです。いまはすごい元気なんですが、(本賞の)知らせを聞いた時はつらい時期だったので、本当に嬉しくて。励みになり、そして力になりました」と感謝の気持ちを述べた。意欲作『凶悪』での味のある死刑囚役で「男優助演賞」を受賞したピエール瀧さんは、「『凶悪』はハッピーな要素がなく、残虐の限りを尽くす非常に重たい映画。ようやく今日になってハッピーなことが訪れました!」とニヤリ。吉高由里子は『横道世之介』のヒロイン役で「女優助演賞」に輝き、「すごく大好きな映画だったので、こんなに人から愛される映画に携われて嬉しい。(不思議な形をしたトロフィーを眺め)私もこんな風に前のめりに生きていけたらいいなと思う」と独特なコメントで会場を笑わせた。<第68回毎日映画コンクール/受賞一覧>■作品部門日本映画大賞:『舟を編む』日本映画優秀賞:『ペコロスの母に会いに行く』外国映画ベストワン賞:『愛、アムール』■監督賞・脚本賞監督賞:石井裕也(『舟を編む』)脚本賞:荒井晴彦(『共喰い』)■俳優部門男優主演賞:松田龍平(『舟を編む』)女優主演賞:赤木春恵(『ペコロスの母に会いに行く』)男優助演賞:ピエール瀧(『凶悪』)女優助演賞:吉高由里子(『横道世之介』)スポニチグランプリ新人賞:星野源(『箱入り息子の恋』)スポニチグランプリ新人賞:濱田ここね(『おしん』)田中絹代賞:加賀まりこ■スタッフ部門撮影賞:今井孝博(『共喰い』)美術賞:原田満生(『舟を編む』)音楽賞:安川午朗(『凶悪』)録音賞:矢野正人(『横道世之介』)■ドキュメンタリー部門ドキュメンタリー映画賞:「映画『立候補』」アニメーション映画賞:『かぐや姫の物語』大藤信郎賞:『海に落ちた月の話』TSUTAYA映画ファン賞 日本映画部門:『風立ちぬ』TSUTAYA映画ファン賞 外国映画部門:『テッド』特別賞:福本清三(俳優)