『オール・アバウト・マイマザー』、『トーク・トゥ・ハー』でアカデミー賞に輝いたスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル。最新作『アイム・ソー・エキサイテッド!』(1月25日公開)は、意外にも抱腹絶倒のコメディだ。アルモドバル作品といえば、登場人物を彩る有名ブランドの華やかな衣装。オシャレ女子は、劇場に行く前にちょっと予習をしよう。マドリッドからメキシコ・シティへ向かう空の旅は、快適なはずだった。しかし飛行機が機体トラブルで着陸不能の状態に。緊迫した状況下で、3人のオネエCAたちはビジネスクラスの乗客を楽しませようと歌って踊り、怪しいオリジナルカクテルを振る舞う。すると徐々に明かされていく乗客たちの素顔。彼ら全員、普通じゃない!? 果たしてこのフライトは無事に終えることができるのか――。最近は重厚なテーマが続いたアルモドバル作品だが、最新作は原点回帰のブラック・コメディ。しかしアルモドバル作品の特徴でもある、“華やかでカラフルな衣装”は顕在だ。例えば『トーク・トゥ・ハー』では、「ヴェルサーチ(Versace)」や「ジョルジョ・アルマーニ(Giorgio Armani)」、「ジャン=ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)」の衣装により、昏睡状態にありながらも強い女闘牛士と純粋なバレエダンサーの美しい女性の美を再現し、『私が、生きる肌』では主人公・ベラが着る「ゴルチエ」の“スキン・スーツ”や、「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」のワンピースなどが印象的だった。最新作でも、「プラダ(PRADA)」や「カルティエ(Cartier)」などのハイブランドの華やかな衣装がふんだんに使用されている。まずはブランカ・スアレス演じるルティの衣装。元カレの携帯電話をたまたま拾ってしまったために騒動に巻き込まれる彼女は、「ドルチェ&ガッバーナ」の花柄のワンピースを着用。白地に鮮やかな花柄が印象的で、さわやかな印象を与える。セシリア・ロス演じるクレーマーで元・SM女王のエルマは、ワンピースは「エトロ」、機内に持ち込んでいる赤い化粧ボックスは「ブルガリ(BVLGARI)」だ。さすが元・女王様。ちょっとバブルを匂わせるセレクトで危険な雰囲気がプンプン。オネエCAが作ったオリジナルカクテルで眠らされる新郎は、「プラダ」の花柄のポロシャツ。かなり主張の強いポロシャツをさらりと着られるのは、やはりラテン男ゆえか。また、精神を患っている愛人アルバの黒い靴も「プラダ」。そしてブレスレットは「カルティエ」の「Clou bracelet」。ハイブランドの衣装を身に着け、オネエCAやイケメンパイロット、クセのある乗客たちがブラックな笑いに満ちたドラマを繰り広げる本作。ぜひ劇場で、衣装もチェックしながら大笑いして!『アイム・ソー・エキサイテッド』は1月25日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。