先週まで 渋谷オーディトリウムで開催されていた「ホン・サンス監督特集上映」。いま周りにあまりにホン・サンス好きな人多くて観直そう、と。私が主に観ていたのは高校のときなので そんなに良かったっけ、って記憶を辿りながら。気合いの三回券(°_°)『良く知りもしないくせに』『次の朝は他人』『アバンチュールはパリで』の3本と(どれも面白かった! 今観るから、かも、きっと)。掘り出し物だったのが『緑の光線』。ホン・サンス監督に影響を与えた一本、として自身でrecommendされていました。胸に焼き付いてしまった。パリに住む若い女性。楽しみにしていたバカンスをキャンセルされてしまいひとりぼっちで過ごすはめに。友人に薦められて別荘を借りてみたりビーチに行ってみたりするけど一人じゃ寂しい、とても寂しい。自分は変なんだ、人と一緒に上手くいられないし愛される資格なんてない、と早々にパリに戻ろうとする主人公が駅の切符売り場でぱったり出会う男性に、ありったけの勇気を振り絞って言う。「私を連れてって」。旅先で肩を並べて夕日を眺めながら彼女が目にしたのは光の残像。緑の光線。それまで話の伏線としてジュール・ヴェルヌの小説「緑の光線」の題名の由来を語るおじいちゃんが出て来ます。なんでも緑は人の目に最後に入る光線の色なんだとか。オレンジ・赤が最初。だから夕日が沈む最後の瞬間は緑が見える。知らなかったです。ちゃんとフィルムに写ってるんですよ。私にも見えましたよ、緑の光線。初めて見ました。最後の最後まで見せてくれないけどエンドロール直前の、そのシーンで主人公と一緒に心からの感動。なんて映画的。なんて美しい。ブラボー! って言いたい。スクリーンで観れて良かった!ホン・サンス監督の『アバンチュールはパリで』の日めくりメモはこの映画から来てるんだ、という発見も。*ホン・サンス監督の新作『3人のアンヌ』は6月15日(土)よりシネマート新宿、7月6日(土)よりシネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー。