13時15分の回の1時間前には入場列に並び、観たのはスティーヴン・ソダーバーグ監督の新作『Behind the Candelabra』(原題)。アメリカで大衆的人気を誇った(実在した)ピアニストであるリベラーチェの姿を、彼と数年間愛人関係にあった男性の視点から描く作品。愛人の男性をマット・デイモン、リベラーチェをマイケル・ダグラスがそれぞれ怪演しており、特にマイケル・ダグラスの演技にはカンヌもびっくり。もちろん、僕もびっくり。
今年のカンヌから受けた印象のひとつに、同性愛を要素のひとつに持った優れた作品が目立ったことで、アラン・ギロディーの『Stranger by the lake』、ケシシュの『La vie d’Adele』、そしてこのソダーバーグの新作が、いずれも激しい同性愛の物語でありつつ、ジェンダー映画の枠を越えて純粋な愛の物語に踏み込めていることに、なんだか爽やかとさえ呼びたくなるような感動を覚えます。
続いて16時15分から、ロマン・ポランスキー監督新作の『Venus in Fur』(英題)。日本でも上演された「ヴィーナス・イン・ファー」というブロードウェイ芝居を、ポランスキーが映画化したもの、ですね。完全な二人芝居で、演じるのはエマニュエル・セニエと、マチュー・アマルリック。芸達者のふたりの芝居がとことん堪能できて、ポランスキーの円熟技、ですな。