女性の皆さん、シルヴィア・クリステルを追悼しましょう。女性のための官能映画の代名詞『エマニエル夫人』と、その続編である『続 エマニエル夫人』『さよならエマニエル夫人』からなるエマニエル三部作が登場です。去年の10月に他界した、エマニエル夫人ことシルヴィア・クリステル。奔放な性に生きる女性を演じ、世界中でブームを巻き起こした美しい人の在りし日の姿を追ってみましょう。パリに住む若妻エマニエルは、外交官である夫ジャンの赴任先バンコクへと向かう。常日頃から、お互いに縛られず自由に他人と肉体関係を持つ新しい夫婦の形を説くジャン。初めは抵抗を感じたエマニエルだったが、南国の明るい日差しの中、徐々に自分を開放していく。そんな折り、退屈なフランス人妻たちの社交場で彼女は異彩を放つ美女ビーに出会う。惰性の情事や噂話で暇つぶしをする他の女たちと違い、自らの仕事を持ち生命力溢れるビーに魅了されたエマニエルは、家を飛び出しビーの研究旅行に着いていく。それは、彼女の長きに渡る性の冒険の幕開けでもあった…。第一作目の『エマニエル夫人』、まだ若いエマニエルは恥じらいがあります。印象に残るのは飛行機内での情事。座席やらトイレやらで男と絡んでいますが、実際にいたらかなり迷惑ですよね…。次作の『続 エマニエル夫人』はところ変わって香港。前作からわずか一年、エマニエルが大変な進化(?)を遂げています。まさに所かまわず、相手かまわずやりたい放題。この頃には性を極めていて、若い女の子に手ほどきするまでになっています。印象的なのは鍼灸院での妄想シーン。顔に鍼を刺して悦に入ってますが何のツボですか…。恐るべし東洋医学。最後の『さよならエマニエル夫人』では舞台はセイシェル諸島に移り、エマニエルは若い映画監督と出会い恋に落ちます。その彼に、君たち夫婦の考え方はおかしい、と私たち鑑賞する側も薄々思っていたことを指摘され動揺するエマニエル。というか、そもそもおかしいのが夫ジャンの設定。二作目では俳優が入れ替わり、三作目では突然外交官から建築家に職替えしています。もはや、夫はどうでもいい状態。1970年代に立て続けに公開された『エマニエル夫人』三部作は、当時の女性たちを大量動員して大ヒットを記録しました。特にハンサムが出てくる訳でもなく、なぜか御曹司が自分に夢中になるとかいうレディース・コミック的な要素も無いのに、何故そんなに女性にうけたのか?ご時世柄、女性の性の解放というテーマが大きいというのが通説ですが、個人的には性行為そのものに女性が観て愉しめる部分が多いからではないかと思います。というのも、稀に男性向けAVを目にするとですね、とにかく思うのが“痛そう”。あんなにがしがし扱われたら痛くてしょうがないですよね。(もちろん個人差はあると思いますが。)それに比べてこの映画はシチュエーションには冒険があっても、情事自体はゆったりと優しくて女性が共感しやすい演出になっていると思います。激しいのと痛いのは別物ですからね。エマニエルが心底愉しんでいる様子なのもそそられるところ。それもこれも、本当にシルヴィア・クリステルの存在あってです。全身で女性の悦びや官能を現したシルヴィア・クリステル。常にノーパン・ノーブラで体を張って、沢山の女性たちに夢を与えてくれました。『さよならエマニエル夫人』のエンドロールで流れる主題歌“Goodbye Emmanuel”をセルジュ・ゲンスブールと共にと口ずさみながら、この美しい人を想いましょう。最後の最後、愛する男を追うため自分の意志で飛行機に飛び乗ったエマニエル。この時初めて彼女は女の性から解放され、自らの道を歩きはじめたのかもしれません。●今週の一言「私はしたい相手としたい時にするの!」『続 エマニエル夫人』から、金で女を買おうとする若いパイロットにエマニエルが言い放つ台詞。ここまで堂々と言われると、もはや哲学的です。仕事もしない、家事もない、毎日が日曜日みたいなセレブライフを送っていればこんな事も言えるよねと思いつつ、忙しさにかまけて官能気分をオフにしてしまっている自分に、この台詞を言い聞かせて喝を入れましょう!放送は映画チャンネルのイマジカBSでご覧下さい!『エマニエル夫人』三部作、3夜連続放送、お見逃しなく!!『エマニエル夫人』(1974/フランス/ジュスト・ジャカン監督/R-15相当)3月13日(水) 23:00~ イマジカBSにて放送詳しい放送情報はコチラ『続 エマニエル夫人』(1975/フランス/フランシス・ジャコベッティ監督/R-15相当)3月14日(木) 23:15~ イマジカBSにて放送詳しい放送情報はコチラ『さよならエマニエル夫人』(1977/フランス/フランソワ・ルテリエ監督/R-15相当)3月15日(金) 23:15~ イマジカBSにて放送詳しい放送情報はコチライマジカBSのHPはコチラ