NHKの大型時代劇「火怨・北の英雄 アテルイ伝」の取材会が東京近郊のスタジオで11月3日(祝・土)に行われ、主演の大沢たかおを始め、北村一輝、内田有紀、大杉漣、石黒賢、神山繁、江波杏子、高梨臨、伊藤歩が出席した。かつて東北で暮らし中央の人々からは“蝦夷(えみし)”と呼ばれた人々がいた。彼らのリーダーであり、奈良時代の終わりから平安時代初頭にかけて、力でもって東北を自らの勢力下に置こうとする朝廷軍と戦った阿弖流為(あてるい)の姿を描く。蝦夷の民の生活習慣や文化に関してほとんど資料が残されていない中、縄文時代の文化をベースに時代考証が進められた。「時代劇というよりも古代劇」という大沢さんの言葉通り、登壇陣は独特の衣裳で姿を現した。大沢さんは「俳優人生の中でまさか竪穴式住居で生活することになるとは…」と笑いつつも、「花ひとつでも、当時あったものなのかを尋ねると美術スタッフは『万葉集に記述があるので、当時もあったものです』と答えてくれた」と数少ない資料の中から最良の環境を作り上げるスタッフ陣を称賛。そして何より、岩手の大自然で行われた撮影のロケーションに圧倒されたようで「普段はあまりモニターを見ないのですが、ちょっと覗いてみたらビックリするくらい美しかった」と驚嘆を込めて語る。阿弖流為という男については「言葉では説明できないので見ていただくのが一番いいかなと思っています。風や木と会話ができて山の痛みが分かる——僕らが失ってしまったものを持っていた人々の中のひとりではないかと思って演じています」と語り、東北ロケでは「いつも(阿弖流為が)そのへんで見ているだろうと思いながら、『どう思ってるだろう?』ということを常に考えながら演じました」と真摯に語った。内田さんは阿弖流為の妻を演じているが“夫”大沢さんの衣裳を「本当にこの格好が似合ってます!」と語り、「大沢さんが立っているだけで圧倒されています」と劇中の阿弖流為さながら現場を引っ張るリーダーを称賛した。阿弖流為の親友で運命を共にする母礼(モレ)役の北村さんは、「原作の小説も素敵ですが、ドラマはちょっと違う部分もある。そのオリジナリティは原作に負けないくらい素晴らしいです」と熱弁。この時期に東北を舞台にした作品に出演するということに関しても強い思いがあるようで、「あきらめない強さや勇敢さを含んだ物語。阿弖流為がヒーローであるということを東北の人たちに伝えて勇気づけるために自分はどう立ち回ればいいか? 懸命に考えて頑張っています」と語った。伊藤さんは、女性ながらも勇敢に敵に立ち向かう戦士を演じている。伊藤さんの家族は東北出身だそうで「改めていろんな本を読んで、自分のルーツを知るきっかけにもなりました」と特別な思い入れを口にした。石黒さんは阿弖流為の兄役で、後に中央の都で役人になるなど数奇な運命を歩むことに。大沢さんが今回の衣裳について「コスプレと間違われる(笑)」と語ったのを受け、「僕はまさにコスプレの極みのような役柄」と笑う。そして「誤解を恐れずに言えば、我々の仕事は“ごっこ遊び”。衣裳や髪、ヒゲを身につけるとあの時代の空気を感じられるような気がして楽しんでます」と充実した表情で語った。大沢さんも「みんなでタイムスリップしようとしています。いままでに見たことのないドラマになると思います」と力強く意気込みを語った。今後、撮影は再び岩手や宇都宮でロケも行われるという。「火怨・北の英雄 アテルイ伝」は2013年1月、NHKにて放送予定。
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