流行りの3Dでもなければ、物語がジェットコースターのような急展開を見せるわけでもない。だが「映画として作られるべくして作られた作品」という言葉がしっくりくる。77歳の仲代達矢が9年ぶりに主演を飾った『春との旅』。小林政広監督の手による脚本は、幾多の作品に携わってきた仲代さんをして「これまでに出会った中でベスト5に入る」と言わしめた。元漁師の男が最後の居場所を求めて北海道、東北と親戚を訪ね歩く姿を描いた本作。彼に寄りそう孫娘・春を演じたのは期待の若手女優・徳永えり。彼女は何を感じ、春という少女にどんな思いを込めたのか?