『空中庭園』が絶賛を浴びた豊田利晃監督の4年ぶりとなる待望の最新作『蘇りの血』が先日より開催中の第10回東京フィルメックスで上映され、上映前に豊田監督、主演の中村達也、草刈麻有、渋川清彦、マメ山田による舞台挨拶が行われた。復帰作の上映を前に豊田監督は「ご無沙汰しています。(同じ建物内の劇場で上映中の)マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』ではなく『蘇りの血』を観に来て下さってありがとうございます」と笑顔で挨拶した。人間が世界を支配するずっと以前、大王(渋川さん)が君臨する時代を舞台に、主人公の按摩・オグリ(中村さん)を中心に、死と再生を描く本作。中村さんは、過去に何度か映画出演をしているが「普段はドラムを叩いている」ということで本作への出演についても「必死こいてやってます! 役者じゃないってことにコンプレックスを持っていて『どういう気持ちでカメラの前に立てばいいのか?』と毎日考えていました。そのまま、自分のままでやりました」と語った。ヒロインのテルテ姫を演じた草刈さんは、少し緊張した面持ちで「テルテの一途なところは自分と似ていて演じやすかったです」とふり返った。豊田作品に初期の頃から参加してきた渋川さんは、監督の復帰が何より嬉しい様子。監督について、以前と変わった部分は? との質問には「変わってませんよ。“ナチュラルハイ”になったぐらいです」と、監督の過去の薬物事件を思い起こさせるようなきわどいコメントを発し、会場からはどよめきが…。これには監督も苦笑い。続けて渋川さんは「監督はとにかく掛け声がデカい! だからこっちもピリッとするんです。そこも変わらず以前のままでしたね」と心地良さそうに語った。和尚に扮した山田さんは「髪は長いのに和尚を演じました(笑)」とおどけつつ、青森での撮影について「恐山(おそれざん)の近くで、硫黄の匂いがそこかしこにするんです。火をつけたら爆発するんじゃないかって思いました」と現場の様子を明かした。最後に豊田監督は「撮影は10日間だったんですが、そのうち4日間は徹夜の実質2週間で撮りました。エコロジーじゃない自然…まがまがしく神々しい自然の力と人間の心の奥底に眠っている力を見てください。大きな意味で“愛”の映画です」と満員の客席に向けて呼びかけた。『蘇りの血』は12月19日(土)よりユーロスペースほか全国にて順次公開。