アイルランド元首相の娘であるセシリア・アハーンが執筆し、世界各国でベストセラーとなった純愛小説を映画化。最愛の夫に先立たれた未亡人のヒロインが、亡き夫が遺した10通の手紙を頼りに、生きる気力を取り戻していく姿が描かれる。姿を失ってもなお感じられる夫の愛にただただ涙させられる展開だが、それに説得力を持たせているのはやはりチャーミングなジェラルド・バトラーのキャスティング。人並みに喧嘩はするものの、夫婦間に愛が充満していた生前が映し出される冒頭から、未亡人・ホリーの思い出としてふたりの歴史が挿入されるシーンに至るまで、笑顔全開、優しさ大放出の彼が見られる。定着しつつあるパワフルでシリアスなイメージから離れ、どこか頼りなげだが懸命さが愛おしいヒロインを演じたヒラリー・スワンクも新境地開拓。娘婿の計画に少々の不健康さを感じつつ、死の悲しみから立ち直ろうとする娘を見守り続ける母(キャシー・ベイツ)のリアルな視線もいい。余談だが、ホリーの新たな恋の相手として、「スーパーナチュラル」と「グレイズ・アナトミー」で世の女性たちを魅了したジェフリー・ディーン・モーガンが出演。魅了されたひとりである、本作の監督リチャード・ラグラヴェネーズの妻と娘のたっての願いで配役された彼の存在が、原作とは異なる味わいをもたらしている。