父と2人暮らしの青年が、お見合いで出会った清楚な美女と結婚の準備を始めるが、次から次へと突拍子もない事件に巻き込まれていく『たみおのしあわせ』。主演はオダギリジョーと麻生久美子、監督は岩松了。カルト的人気を誇るTVドラマ「時効警察」のトリオによる、オフビートなコメディだ。オダギリさんが演じるのは、女性に対してオクテという性質以外はミステリアスな主人公、民男。毎朝父と一緒に駅に向かうが、仕事は何をしているのか、友人はいるのか、なぜ髪を束ねているのかなどなど、謎が多い。そういうスクリーンに出てこない部分について、監督と話し合ったりは「してないですね」ときっぱり。「全然考えてないです」。こだわりの強そうなイメージはオダギリ自身にも通じるように思えるが、民男との共通点は「自分では分からない」と言う。「遠からずだと思いますけどね。演じていて出てくるものは、自分のものしかないので」。では、民男と友達になれるかといえば、「僕はならないですね(笑)。嫌いじゃないですけど。それにこの年齢になると、友達って作れなくなりません?」完成披露試写会の舞台挨拶で、大竹しのぶが、オダギリと小林薫と休憩時間に愛について討論したことがあると明かしていたが、そのとき、どんな結論に達したのかというと、「僕、諸先輩方のお話をほとんど聞いてなかったんですよ」とすまなそうに笑う。「お酒を飲んでいたんで、あんまり覚えてないんですよね(笑)。2人が愛について語ってて、僕はもう、ただ面白い意見の方に乗っかってました(笑)」。原田芳雄扮する父の交際相手を演じる大竹さんとの共演はこれが初めて。「ちょっかい出せる距離感なんですよね。本当に面白い方です。いまでもメル友ですね。そういう意味では友達いますね、僕も(笑)」。彼にとって、映画のもう1つのキーワード、しあわせとは、何なのだろうか。「家に魚がいるんですけど、大体寝てるんですよね。餌をあげると食べる。この魚のしあわせって何なんだろうというのが、最近、すごく気になります(笑)。電気をつけると起きちゃうし、かといって、ずっと寝てるのもかわいそうかなと思って。結局、動いているのは餌を食べてるとこしか僕は見てないんです」。それを見ているのがしあわせ?「いや、別にしあわせとは思わないですよ。分かんないですね、本当に。何がしあわせなのか。で、結婚とはっていうことも、やっぱり、その魚を見てて、分かんなくなりますね(笑)」。