サスペンスの巨匠ブライアン・デ・パルマが1973年に手がけ、カルト的人気を博した『悪魔のシスター』をリメイク。殺人を目撃した女性ジャーナリスト・グレースと、殺人に関わる謎の美女・アンジェリークの危うい関係が展開していく。グレースを演じるのは、『ボーイズ・ドント・クライ』のクロエ・セヴィニー。一方、双子の姉・アナベルを持ち、怪しげな男性医師・ラカン(スティーヴン・レイ)の庇護を受けているらしきアンジェリークをルー・ドワイヨンが演じているのだが、アンジェリークの調査にのめり込むグレースの内面のドラマが見どころ。驚くべき過去にとらわれるアンジェリークと、そんな彼女に感情移入していくグレース。衝撃のラストが待つサスペンス・スリラーの形を取ってはいるが、共に癒えない心の傷を負う女性ふたりの共鳴のドラマが軸となっている。こう書くとヒューマンな味わいの女性映画だと見なされてしまいそうだが、ラストに向けて加速する血みどろ描写は決して女性向けとは言えない。このあたりのいけずなセンスに、ニューヨーク出身の新鋭監督ダグラス・バックの個性が感じられる。