『インファナル・アフェア』のチームが再結集し、トニー・レオンと金城武が主演。しかも、ハリウッドでのリメイクがすでに決定し、主演はレオナルド・ディカプリオが務めるという。トニー・レオンと金城武が演じるのは、かつては上司と部下の関係にあった刑事。しかし、金城演じるポンは恋人の自殺をきっかけに刑事を辞職し、今は私立探偵をしている。一方、レオン演じるヘイは大富豪の娘と結婚し、公私共に充実。ところが、義理の父である大富豪が惨殺されたことで、ヘイの人生にも暗雲が立ち込め、ポンは事件の真相を探る形で彼と関わるようになる。ヘイの義理の父親は誰に殺されたのか? の言及は控えるが、犯人に関してはすぐに明らかになる構成。なぜ殺したのか? についてもストレートに明かされていく。それではサスペンスのスリルを味わいたい人には物足りないかもしれないが、この映画で鍵を握るのは犯人が殺害に至るまでの陰湿で屈折した感情。事件を追う男たちのサスペンスというよりは、ひとつの事件に関わる男たちの人間ドラマといった様相を呈している。金城武はアルコールに溺れる私立探偵という役どころをしおれた佇まいで好演。キーパーソン役のトニー・レオンもワンシーンごとに複雑な表情を見せている。『インファナル・アフェア』のリメイク、『ディパーテッド』はアイリッシュ・マフィアが牛耳るボストン南部に場所を移したことで大成功したが、こちらの『傷だらけの男たち』はどう料理されるのか。怖いような、楽しみなような…。