第17回小説すばる新人賞を受賞した三崎亜記の処女作を映画化した『となり町戦争』が2月10日(土)初日を迎え、新宿ガーデンシネマで行われた舞台挨拶に主演の江口洋介と原田知世、渡辺謙作監督が登壇した。町おこしの一環として隣り町との戦争が始まるというシュールな設定の中で、江口さんが演じたのはごく普通のサラリーマン・北原。突如与えられた偵察任務に逆らうでもなく従事するうち、実感の伴わぬまま自分が戦争の中心にいることに気づく。江口さんは作品について、「『自分だったらどうするか』と考えさせられる映画」とコメント。自身の役を例に「共感というものが恐ろしいことに繋がることがあると伝えているのかもしれません」と語った。役作りに関しての監督からの演出は「何もしないで」というものだったというが「カメラの前でいろんなものを削ぎ落とし、ずっとボーっとしているのは難しい。そういう意味で非常にやりがいのある役でした」と語った。その北原と、任務遂行のために偽装結婚する何とも不思議な女性・香西を演じた原田さん。原作を読んだ段階では北原に共感を抱いたと語り、香西については「自分とは離れた信念を持った女性という印象があり、理解しようがないというか、考えても考えてもつかめないところがありました」と役作りの苦労を明かしてくれた。また、愛媛でのロケについて質問が飛ぶと「松山城や地元の人が行くようなお店に行ったり楽しめました」と振り返った。そして、これから作品を観る人々に向けて「観終わった後、いろんな想像をしていただけら嬉しいです」とのメッセージを贈った。渡辺監督は奇抜なストーリーについて「日常の中に戦争という禍々しいものが入ってきているのに、全然その姿が見えない」と解説し、撮影に臨む上で「『サスペンスとして面白い映画になる』という感触を得た」と語った。また、偽装結婚のシーンで香西が、着ている服にそぐわないスニーカーを履いている点など、作中に散りばめられた小さな疑問点に触れ「2度、3度と観ていただけるとそういう点が見えてきたりしますので、ぜひ1度観た方もまたご覧になってください」と呼びかけた。『となり町戦争』は新宿ガーデンシネマほか全国にて公開中。
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