1930年代の上海。かなりユニークな場所だったようですね。現在でも、未来と現在、東洋と西洋が交差しているような街だけれど、当時は極東最大の都市であり、アジア経済の中心。イギリス、フランスなどが租界(外国人が行政・警察を管理する居留地区)を設定したことから、欧米からも人が集まり、ロシア革命から逃れてきたソヴィエトの亡命貴族も多く移住。華やかながらも、雑然とした雰囲気があり、退廃的なムードも漂っていたよう。さまざまな本からそんな情報が得られますが、そんな様子が手っ取り早くヴィジュアルで観られるのが、ジェームズ・アイヴォリー監督の新作『上海の伯爵夫人』。多文化が入り混じるゆえの猥雑さや日本軍侵攻による緊張感はもちろんありながらも、上海が最も輝いていた時代とも言われる1930年代。当然ながら、映画では当時のファッションも見所です。