19世紀末、オーストリア。時代より遥かに先を行ったひとりの天才画家がいた。——グスタフ・クリムト。官能と情熱、あでやかで豊かな色彩、なまなましいほどの肉感をたたえながら恍惚の表情を浮かべる女たち。描き続けた「ファム=ファタル(宿命の女)」、満ち溢れる「エロス」…。19世紀末ウィーン文化において燦然と輝く傑作を残した画家の、幻想と現実の狭間にある危うい精神世界をうつしだした映画『クリムト』。日本では今秋公開が決定している本作が、第28回モスクワ国際映画祭(6月23日〜7月2日)コンペティション部門においてロシア批評家連盟賞受賞を受賞した。クリムトに扮するのはその演技に絶大な信頼を寄せられているジョン・マルコヴィッチ。監督・脚本は、鬼才との呼び声高い独特の演出、寓意に満ちたカメラワークをみせる『見出された時—「失われた時を求めて」より—』のラウル・ルイス。また、クリムト本人がデザインを手がけた衣装の再現や、『クリムト』のために作られた100点を超える衣装の数々、そして19世紀末のカフェハウスのインテリアなど、細部にいたるまで当時を意識した世界観はまさに美の洪水とも言えるだろう。美しく、不安で、かつ魅力的なクリムトの絵と同様、世紀末ウィーンの美しさをたたえた『クリムト』。公開は秋、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国にて。『クリムト』配給:メディア・スーツ劇場情報:秋、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開(C) epo-film, Bernhard Berger. All Rights Reserved.