この秋、話題の邦画といえば、『NANA』。原作は、発売から5年で累計2300万部の売上げを突破している、矢沢あい原作の超人気コミックであることはご存知の通り。性格も、好みのファッションもまるで正反対の二人の女性、ナナと奈々が運命的な出会いを通じ、友情を育みながら、恋愛や失恋を経て、大人の女性へと成長していく姿を描いています。
もう少しすると、すっかり秋の気配が感じられる頃となってくる日本。「○○の秋」というフレーズが、さまざまなメディアで使われるようになりますが、皆さんなら、○○の中に何を入れるのでしょうか。どこへ行っても、食べ物のことが気になって仕方がない私が当てはめたいのは、もちろん「食欲」という2文字。食事が不味い、と散々人から聞かされていたというのに、ロンドンでも何でもすっかり美味しくいただいていた私。いったいどうしたと言うのでしょう。
世界中で多くのコアなファンを持つジム・ジャームッシュ。しかしジャームッシュ?とあまり彼の名前に馴染みのない人でも、十二分に楽しめるのが本作。なんと言ってもとびきりおしゃれ! それでいてリラックス効果抜群なのです。
「喫茶店でコーヒーを飲む」。この何気ないシーンが実は映画にとってはとんでもない魔物なのです。なにせ人物がテーブルについて座っているだけでたいした動きがない。下手をすればどうしようもなく退屈なシーンになりかねません。だから全編がそれで構成された映画と聞いて、さすがに無謀な試みではないかと不安にもなりました。しかしそこはジャームッシュ、確かに人々がコーヒーを飲みながらだらだらと喋っているだけなのに不思議と飽きさせず、気がつくとすっかりその空気に巻き込まれてしまっていました。
待ってました! ジム・ジャームッシュ監督の新作登場。2003年に発表された『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』の中の短編『女優のブレイクタイム』を別にすれば、なんと5年ぶりの単独作品。18年にもわたって撮りためられてきた作品がじっくり観られるのだから心底嬉しい。
舞台はゲイのための老人ホーム、『メゾン・ド・ヒミコ』で、登場人物はオダギリジョー演じる美しいゲイの青年・春彦、彼が愛するこの老人ホームの創設者・卑弥呼、そして柴崎コウ演じる卑弥呼の娘・沙織…という設定だけを聞くと、なかなかどういう映画か想像がつきにくいかもしれませんが、本作はまぎれもなく温かな愛に包まれた映画です。最初は圧倒される老人ホームの超個性的なメンバーたちも、だんだんとストーリーが進むにつれて、全く違和感がなくなっていくのが不思議! ここには確かに普遍的な“愛”が存在しています。食わず嫌いで見逃すと絶対に損をする映画ですよ! それにしても、本作で“ブス”を演じる柴咲コウのメイク・ダウンにも注目しましょう。眉毛にそばかすに…でもやっぱり美人は隠しきれないなと私は思いました。
「観たことのない映画を観たい!」というのならこれをおすすめします。たしかに“ゲイ”という設定を用いてはいますが、彼らを通して男女、親子、仲間といったもっと大きな愛について描いている作品です。それはいわゆるゲイの人のためのゲイ映画ではなく、すべての人のためのゲイ映画なのです。だからこそ、春彦と沙織があることを試そうとするシーンは泣かせます。そこには愛の持つ希望と絶望のすべてがあるからです。また、やはり犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』にも見られたファンタジックなセットや、ミュージカルのようなダンスシーン、西島秀俊の非人間っぷりも必見! オダギリジョーと柴咲コウはいずれ劣らぬ名演をみせますが、女性はオダギリを、男性は柴咲を支持する傾向が強かったことは特に面白かった。かくいう私は…オダギリジョーにひたすらため息をつくばかり。私が男でも惚れたに違いありません。本当に美しい人は性別を超えて愛される。これぞまさに究極の愛でしょう。
娘を捨ててゲイになった父と、その父を憎みながら孤独な人生を生き抜いてきた娘、そして年若く美しい父の恋人の男。3人が過ごした最期の夏に分かったのは、互いを分かりあいたいと願うことこそが愛なのだということ…とシットリ書いちゃったが、一番面白かったのはゲイの老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」の個性あふれるゲイ爺さんたち。ラブリー系にインテリ系、マッチョ系、男気系、いろもの系…そのキャラがあまりに濃いので、こんな爺さんたちをゲイっていう一点だけで一括りにできるかっ!という気分になり、プロセスはどうあれ非常にまっとうな結論へと導かれる。中でも一番笑ったセリフは「味海苔みたい!味海苔みたい!」。この爆笑を映画で味わってほしいなあ。オダギリジョーが恐ろしいほどに美しく、特にダンスホールのソファで足を組んで座るショットは鼻血もの。
私、今ロンドンに来ています。テロ警戒中で不穏な空気が漂っている?…と思いきや、珍しく快晴の日々が続いているせいもあるのでしょうか、なんだか夏特有ののびのびムードが満点。ヨーロッパ各地からバカンスで訪れている人も多く、家族連れの姿も目立ちます。
待ってました! ダニー・ボイルの最新作、『ミリオンズ』の公開がついに秋に決定しました。あのユアン・マクレガーの出世作でもある2作、『シャロウ・グレイブ』&『トレインスポッティング』で注目を集め、イギリス映画ブームを牽引したボイル。『普通じゃない』『ザ・ビーチ』は、“いかにも”なハリウッド色がミエミエで、本来、彼の作品が持っているドロ臭さや皮肉っぽさが消えていて、あまりに整いすぎた感じが、残念な作品。そんな彼が『28日後...』で、本領を再び発揮したのは、2002年のこと(日本公開は2003年)。その前年には、『ストランペット』『ヴァキューミング』の2作を撮っているものの、ファンの多い日本ですらあまり話題にならず。
年上の男性とのスキャンダラスな恋、挑発的な発言、という年齢のわりにはムンムンなフェロモン…と、何かとお騒がせなスカーレット・ヨハンソン。ゴシップ欄に登場する頻度と、映画界での活躍は、彼女の場合どうやら比例しているようで、マイケル・ベイ監督の元でSF作品『アイランド』を撮ったかと思うと、オスカー・ワイルド原作の戯曲「ウィンダミア卿夫人の扇」を映像化した『理想の女』(日本公開9月)に出演するなど、「ますますご清勝のこととお喜び申し上げます」ってところなのです。
いよいよ8月、夏真っ盛り。お休みの予定はお決まりですか? 私は、近々、英国へ行く予定なので、なんとなく気分はグレート・ブリテン! そこで、今月はイギリスに関連した映画の話題をお届けします。
今週の話題は、韓国ホラー映画『霊−リョン−』。韓国でも、変わらず強い人気を誇るホラーですが、多く製作されるなかでも、昨年の話題をさらった作品とか。ホラーの定番である“血”を見せず、“水”を使った演出が効果的だったことにも注目が集まりましたが、何より話題となったのは、キム・ハヌルが主演したこと。