1994年にアニメーション映画として誕生し、2019年には超実写版として大ヒットを記録した『ライオン・キング』。その原点にしてはじまりの物語『ライオン・キング：ムファサ』が12月20日（金）より劇場公開される。
登場するのは、『ライオン・キング』の悲劇がまるで嘘のような、純真無垢で可愛らしく、仲睦まじいムファサとタカ（後のスカー）の“兄弟”。運命的に出会い、お互いを思い合っていた唯一無二のふたりに一体何が…!? タカはなぜ、あのスカーへと変貌してしまったの…!?
シネマカフェでは哀しきヴィランとして強烈な存在感を放つスカーの魅力に迫りながら、期待感を込めて本作の行方を大胆予想！
「ずっと“兄弟”でいたかった」
若きタカが“ヴィラン”スカーになるまでを描く
本作は、ディズニーが超実写版で贈る『ライオン・キング』はじまりの物語。シンバの父ムファサと、かつてはタカと呼ばれた“ヴィラン”である弟スカー。孤児のムファサを偉大な王にした、知られざる若き日の兄弟の絆と、そこに隠された秘密が描かれる。
超実写版『ライオン・キング』でかつてのタカがスカーとして姿を現すのは、動物たちの王国プライドランドにムファサの息子シンバがお披露目された誕生式典の後。その名の通り、左目を割くような大きな傷（スカー）がトレードマーク、堂々とした王ムファサとは違い、どこか寂しげで物憂げで…かなり痩せ細っているのが印象的。
ムファサに仕える鳥のザズーが「もっと早くプライドランドから追放すればよかったんです」と進言しても、ムファサは「あれでも我が弟」と言い、自分が王である限りプライドランドはスカーの居場所だと断言する。
そんなムファサの懐の深さや情けをスカーは知ることもなく、表向きは王ムファサを敬っているように振る舞いつつ密かにハイエナたちと手を組み、ムファサへの復讐と王国を奪う機会を狙っていた。
好奇心旺盛でまだ幼いシンバを言葉巧みに焚きつけ、ヌーの大群の通り道となる谷に誘い込むと、わざとらしくムファサに報告。息子シンバのピンチに駆けつけたムファサを、無情にも崖の上から谷底に突き落としてしまう…。
復讐のために甥っ子の無邪気な信頼を利用するスカーのやり方は、『リトル・マーメイド』の海の魔女アースラともよく似ている。兄トリトン王を恨み、姪アリエルの“気持ちがわかる”と同情するふりをして操ろうとしたずる賢さや傲慢さは、人気の高いディズニー・ヴィランならでは。
また、目的のためには手段を選ばない策略家という点では『アラジン』のヴィラン、ジャファーも思い浮かぶ。アグラバー王国の国務大臣をつとめながら虎視眈々と王国の乗っ取りを狙い、王やアラジンら邪魔者を排除しようとしたが、自らの力を過信したジャファーには容赦のない結末が待っていた。
自信過剰のうぬぼれ屋といえば、『美女と野獣』のガストンだ。表向きは誰もが一目置く“村のスター”で、ベルはもちろん誰もが自分を愛すると信じ込んでいる。だが気が短く横暴で、無防備な相手を背後から襲う卑劣さを持っていた。
憎たらしくも憎みきれない、こうした魅力的なヴィランがいるからこそ、主人公たちの物語がまぶしいくらいに光り輝いてくる。
「光と闇」表裏一体の兄弟の過去に何が!?
本当の“ライオン・キング”は『ライオン・キング：ムファサ』で完成する
解禁されている予告編や特別映像からは、プライドランドをおさめ、尊敬と愛情を集めていた王ムファサが実は孤児であり、後にスカーとなるタカが王の血筋をひく継承者であったことがわかっている。
王子として生まれたタカはずっと「兄弟がほしい」と願っていたから、ムファサに出会えて嬉しくたまらない。タカの両親が率いる群れは“よそ者”に対する厳しい掟がありながらも、親と生き別れた幼いムファサを受け入れてくれた。
そんなムファサとタカが陽気に歌う劇中歌「ブラザー／君みたいな兄弟」には、“兄弟の敵は僕の敵”“悪口を言ったら許さないぞ”といった歌詞があり、そのころのふたりは互いを純粋に信頼し支え合う、血のつながりを超えた兄弟の絆で結ばれていた様子。
それなのに、後の『ライオン・キング』に待ち受ける運命のように、ふたりの間には取り返しのつかない感情のもつれ（特にタカの側に）、軋轢が生まれてしまったことは確かで、王子のタカではなく孤児のムファサが王になった理由もその辺りにあるのでは？ その後のふたりの結末を知っているだけに、仲睦まじい兄弟の姿とその絆は、観客の胸を熱くするに違いない。
ふたりの運命を変えたものーーそれは、後にムファサの妻となるサラビとの関係、そして共通の敵となる冷酷なライオン・キロスの存在が鍵を握る。キロスから群れを守るために、新天地を目指す旅に出た兄弟が、旅の途中で出会い仲間になるのがサラビだ。
超実写版『ライオン・キング』で、ムファサを前に悪びれもせず「サラビ王妃をこの上なく慕っている」と告白し、ムファサ亡き後は「お前の愛した王はもういない」とサラビに妃になるよう迫ったスカー。彼女への届かぬ愛が兄弟同士の対決と決別をもたらした可能性はある。
「俺が兄上に（闘いを）挑むものか、二度と」とスカーが話していたことからも、兄弟は過去に一度正面から対決し、タカが敗れたはず。スカーの由来となったあの傷をつけたのは、ほかならぬムファサだったのかも…!?
また、本作の超実写プレミアム吹替版でキロス役を務める渡辺謙は、兄弟の関係に暗い影を落とすに違いないキロスについて「社会から疎外されているキャラクター」と単なる悪役ではないことを説明し、やがて破綻へと向かう兄弟の絆については「ディズニー史上最も切ない話」ととても気になるコメントをしている。
スカーがムファサを崖から突き落とす『ライオン・キング』の決定的瞬間にも、“信じていたのに”とショックを受けた表情がムファサに浮かぶ一方で、冷たい瞳でムファサを見下ろすスカーはまるで自分と対になる傷をつけるかのように、ムファサに最後の一撃を与えていたことが思い起こされる。
ここまでの変貌ぶりは、さながら『スター・ウォーズ』の純真なアナキン・スカイウォーカーが暗黒卿ダース・ベイダーとなるほどの“闇落ち”!?
そんなタカ／スカーについて、字幕版でタカ役を演じるケルヴィン・ハリソン・Jr.は思いを寄せながら「社会に出て、人生に興奮している。自分の機会に興奮している」成長途上の若者だと解説。「そして、自分自身や愛を知ることや、大人になるということがどういうことなのかを理解しようとするんです。彼は僕たちみんなと同じなんです」と、キャラクターを紐解く糸口を明かしている。
若き日のムファサとタカのキャラクターと関係性に迫る『ムファサ』、そしてムファサの息子シンバを主人公とした『ライオン・キング』、この2作を見て初めて本当の“ライオン・キング”は完成する。
監督・楽曲・声優すべてが最高峰！
この冬必見のキング・オブ・エンターテイメント
超実写版『ライオン・キング』と同様に、本作『ムファサ』の超実写プレミアム吹替版にも豪華なキャスト陣が勢ぞろい！
主人公の若きムファサを尾上右近、後のスカーとなるタカを松田元太（Travis Japan）が演じ声優初挑戦。実際の兄弟のように息ぴったりの熱演を見せてくれるだろう。キロス役渡辺の渋味ある演技との対峙も楽しみ。
サラビをミュージカル俳優・歌手のMARIA-E、ムファサの父マセゴを『美女と野獣』ガストンを務めた吉原光夫、母アフィアを元宝塚歌劇団宙組の和音美桜が担当するほか、人気声優の悠木碧がキロスの姉妹ライオンのアクア、LiLiCoが雄大なサバンナに住む賢いキリンとして参加。
さらに前作の人気キャラクターたちを“声”で彩ったキャスト陣の続投も決定。賀来賢人演じる前作の主人公シンバ、門山葉子演じるシンバの幼馴染でのちに妻となるナラ、佐藤二朗演じるイボイノシシのプンバァ、人気お笑いコンビ・ミキの亜生演じるミーアキャットのティモン、そして駒谷昌男が演じる、後に王国の祈祷師となるマンドリルのラフィキが最新作にも登場する。
字幕版では、ナラ役を続投するビヨンセ・ノウルズ＝カーターが、シンバとナラの娘・キアラ役のブルー・アイビー・カーターと親子共演を果たし、キロス役は北欧の至宝として日本でも絶大な人気を誇るマッツ・ミケルセンと、こちらもプレミアム。
監督を託されたのがアカデミー賞作品賞を受賞した『ムーンライト』をはじめ名作を手がけてきたバリー・ジェンキンスだけに、彼らの物語は壮大かつエモーショナルな展開が期待できる。
ハリウッド最高峰の映像制作スタジオによる『ライオン・キング』からさらに進化したモフモフなライオンたちのリアルさや“表情”も、大スクリーンで堪能したいところ。豪華キャストが演じた“生の声”と組み合わされば、より感情に訴える映像体験を堪能できそうだ。
さらに、若きムファサとタカの関係性を見事に紡ぐ楽曲をはじめ、劇中の音楽は『モアナと伝説の海』『ミラベルと魔法だらけの家』『リトル・マーメイド』などディズニー作品でもその才能を発揮するリン＝マニュエル・ミランダが手がけている。
心ゆさぶる楽曲にのせて、超実写版で描く『ムファサ』は、この冬必見のキング・オブ・エンターテイメントとなるに違いない。
ムファサって何者？『ライオン・キング』始まりの物語が衝撃だった！＞＞（シネマトゥデイ）
『ライオン・キング：ムファサ』公式サイト
『ライオン・キング：ムファサ』は12月20日（金）より全国にて公開。
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