2023年「第44回青龍映画賞」で、最優秀作品賞など4冠に輝いたクライムアクション『密輸 1970』の公開記念舞台挨拶が7月13日(土)、新宿ピカデリーで行われ、来日中のリュ・スンワン監督と、出演者のチョ・インソンが登壇した。
海底に眠る金塊を巡って、騙し合いが繰り広げられた実話に着想を得た本作。1970年代半ば、海洋汚染の影響で、失業の危機に瀕した海女たちが、海底から密輸品を引きあげる仕事を請け負うことに。密輸王、チンピラ、税関らの思惑が入り乱れるなか、海女たちは、人生の再起をかけた大勝負に身を投じる。物語の中心となる海女を、キム・ヘス(『国家が破産する日』)、ヨム・ジョンア(『完璧な他人』「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」)が演じている。
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チョ・インソンは、「映画を愛する皆さんと、劇場でお会いできるのが、一番うれしいこと。夏にピッタリの映画なので、涼しく過ごしてもらえれば」と来日の喜びをコメントした。本作では、事業家の顔と、悪徳密輸業者の顔を併せ持つ全国区の密輸王のクォン軍曹を演じている。
『モガディシュ 脱出までの14日間』でもタッグを組んでいるリュ・スンワン監督は、「チョ・インソンという傑出した俳優だからこそ成立した役柄。前回もご一緒し、その能力を知っていたので、それをどこまで引き出せるのか考えていた」と全幅の信頼を寄せる。
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当初のシナリオでは、クォン軍曹には“別の運命”が用意されていたと言い、「撮影が進むにつれて、現場にいる全員が『彼は生かそう、映画だからいいじゃないか』という結論になった」と回想。さらに、1980年代を舞台に、クォン軍曹がダイヤの密輸で暗躍するという続編の構想も明かした。
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舞台挨拶には、韓国での活躍でも知られる俳優の大谷亮平がゲスト登壇し、チョ・インソンとリュ・スンワン監督にお祝いの花束をプレゼント。渡韓した際には、韓国語を学ぶために、チョ・インソンの出演ドラマ「春の日」の台詞を暗記していたそうで、「僕にとっては、(作中のキャラクターである)ウンソプさんというイメージも強いです」と対面に感激した様子。「春の日」は日本のドラマ「星の金貨」のリメイクであり、チョ・インソンは「そのようなご縁もあって、ここでお会いできたんじゃないかと思う」と笑顔を見せ、写真撮影の際には、大谷さんにセンターポジションを譲るサービス精神も発揮した。
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『密輸 1970』は全国にて公開中。