アントマンや“ガーディアンズ”、ロキなど、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の魅力的な主人公の物語を描く様々な映画&ドラマシリーズが公開・配信された2023年。
その中でも、映画『マーベルズ』では孤高の存在だったキャプテン・マーベルがチームプレーを見せ、新世代の活躍を期待させる描写や、驚きの展開が明かされるなど、今年のマーベル作品には多彩な女性キャラクターが登場し、物語を大きく動かした。今回は彼女たちの活躍とともに、2023年公開・配信された映画&ドラマシリーズを一挙ふり返る。
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映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』
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アベンジャーズと共に世界を救った最小ヒーロー、アントマン/スコット・ラングとそのファミリーの活躍が描かれる本作。中心となるのは、6歳のときに“ハチ男”ことイエロージャケット/ダレン・クロスに襲われ、ヒーローになった父スコットが5年間も姿を消していたという“普通じゃない”ティーン時代を過ごしているキャシー・ラング(キャスリン・ニュートン)。
キャシーは自分も何か人助けはできないか、世界をよくするために役に立てることはないかと考え、謎に包まれた<量子世界>と交信できる装置を発明する。しかも、秘かに自分用のアントマン・スーツまで作っていた。
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そんな正義感と好奇心に溢れたキャシーが大きな影響を受けた女性が、初代アントマン/ハンク・ピム博士の娘ホープ・ヴァン・ダイン/ワスプ(エヴァンジェリン・リリー)。ホープはいまやピム・ヴァン・ダイン財団の代表として、住宅や食糧問題を考える活動家としての顔も持つ。公私ともにアントマン/スコットをサポートし、一緒に闘う、彼女がいなきゃ始まらない心強いパートナーだ。
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ホープの唯一の気がかりといえば、スコットに救出されるまでの30年間、<量子世界>で行方不明になっていた自身の母ジャネット(ミシェル・ファイファー)のこと。<量子世界>でどのように過ごしていたのか、一度も家族に話してくれないジャネットのことをずっと心配してきた。
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本作『クアントマニア』ではキャシーの作った装置で<量子世界>に一家が吸い込まれてしまうが、これまで描かれてこなかった<量子世界>の秘密、ジャネットと本作のメインヴィランであるカーンとの関わりをホープやスコットたちも知ることになる。ジャネットはカーンとの戦いで鍵を握る人物だ。
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』はディズニープラスで見放題独占配信中。
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
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『ガーディアンズ』シリーズの最終章となる本作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』に、クールな暗殺者ガモーラ(ゾーイ・ソルダナ)が戻ってきた。
だが、ピーター・クイルと愛を育んだガモーラとはまったくの別人。そのガモーラは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で亡くなっており、本作に登場するのは“ガーディアンズ”と出会う以前の過去のガモーラだ。
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本作の彼女は、ならず者ばかりの宇宙海賊“ラヴェジャーズ”と行動を共にしている。未練たらたらのピーターとのやりとりはちぐはぐで衝突ばかりだが、恐れ知らずの強くてカッコいいガモーラは健在。
その義妹ネビュラ(カレン・ギラン)は、サノスによって身体の大半を機械に改造され、冷酷な暗殺者として育てられた。しかし、ガモーラとの確執を乗り越え、『インフィニティ・ウォー』後はトニー・スターク/アイアンマンと2人きりで宇宙を彷徨い、他者との関係が増えるなか、“ガーディアンズ”という新しい家族に囲まれたネビュラはますます“人間味”を増し、シリーズを通じて最も大きな変化を遂げた女性キャラクターとなった。
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本作では“ガーディアンズ”の仲間である瀕死のロケットを救うことにドライなガモーラに対し、ネビュラは最後まで諦めない。これまでのシリーズとは対照的な姉妹の姿に注目だ。
そして、ピーターの異母兄妹で『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に登場した天界人エゴの娘マンティス(ポム・クレメンティエフ)も、すっかり“ガーディアンズ”に馴染んでいる。
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身体に触れただけで他者(人だけでなく、宇宙生物までも)の感情を理解し、ときには操ることのできるエンパシー(共感)の能力を持つマンティス。その純粋な精神は“ガーディアンズ”の仲間に揉まれながら豊かに育まれ、ピーターへの故郷・地球への思いや“迷コンビ”ドラッグスの父性にも気づき、いまとなっては“ガーディアンズ”メンバーの性格を誰よりも理解する。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』はディズニープラスで見放題独占配信中。
―番外編「アイ・アム・グルート」もおすすめ―
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仲間同士の軽妙なやりとりも魅力の『ガーディアンズ』シリーズでは、グルートの愛らしさ全開の「アイ・アム・グルート」もおすすめ。お馴染みマーベルロゴのオープニングクレジットをベイビー・グルートが早送りして飛ばす場面から幕を開け、いたずら好きで無邪“木”なベイビー・グルートの小さな冒険が1話約5分で楽しめる。日本語吹替は遠藤憲一が担当!
「アイ・アム・グルート」はディズニープラスにて独占配信中。
ドラマ「シークレット・インベージョン」
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『キャプテン・マーベル』で若きニック・フューリーは、宇宙難民のスクラル人・タロスに、失った故郷に代わる居場所を見つけることを約束した。だが、それが果たされぬまま月日がたち、一部の過激派スクラル人は国家の重要人物たちに擬態し、地球を秘かに侵略する計画<シークレット・インベージョン>を企てる。
そんなスクラル人とフューリーとの深い関わりが描かれる本作では、『キャプテン・マーベル』にも登場したタロスの娘ガイア(エミリア・クラーク)が成人して姿を見せ、キーパーソンとなっている。
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父タロスやフューリーに反発して過激派の仲間となりながらも、リーダー・グラヴィグの情報を提供するスパイとなるガイア。彼の真の目的はアベンジャーズのDNAを利用した「スーパースクラル人計画」であることが分かるが、やがてガイアもグラヴィグの暴走を阻止するため、とてつもない力を手に入れることになる。
また、過去にフューリーと組んだことがあり、今回も力を貸す一方で独自にスクラル人過激派の動きを追うのが、英MI6のエージェント、ソーニャ(オリヴィア・コールマン)。
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モスクワでテロを起こしたグラヴィグ一派のアジトを探るべく拷問するシーンでは、ジョークを交えながらもMCU史上稀に見る冷酷非道なやり方で観る者を震撼させる。そしてMI6局長がスクラル人であることを見抜くとすぐさま射殺、自らその地位につき、“スーパースクラル人”となったガイアにも手を差し伸べる。今後が気になる女性キャラクターの1人だ。
「シークレット・インベージョン」はディズニープラスにて独占配信中
ドラマ「ロキ」
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嘘と悪戯を愛する神、裏切り王子・ロキが時空を超えたことで、“神聖時間軸を守っている”組織TVA(時間変異取締局)に捕まることから物語が始まる「ロキ」。そこでロキが任されたミッションは、自身の変異体シルヴィ(ソフィア・ディ・マルティーノ)を見つけることだった。
シルヴィは幼いころ、別の時間軸のアスガルドからTVAによって連れ去られた“もう1人のロキ”。相手に直接触れることで心を操ったり、記憶に入り込んだりするロキにはない魔力を持ち、大災害の影に潜んで逃亡しながらTVAへの復讐の機会を狙っていた。
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王宮育ちのロキと違って気性や戦い方も荒々しく、ひねくれ具合はロキ以上かも!? やがて、そんな2人は互いに惹かれ合い、変異体同士で恋に落ちる!
しかし、TVAを作り影で時間軸を支配していた“在り続ける者”をシルヴィが倒したことで2人は決別。シーズン2ではようやく安住の地を見つけたかと思いきや、滅びゆくTVAを立て直したいロキと気まずい再会。どの時間軸も破壊されてほしくないシルヴィは、ジレンマを抱えながらロキと協力していくことになる。
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もう1人、注目したいのはラヴォーナ・レンスレイヤー(ググ・バサ=ロー)だ。以前はB-15のようなTVAのタイムハンターだったが、ときに見せる非情な判断とTVAへの忠誠心で首席判事にまで上りつめた女性。ロキの“相棒”メビウスとは親友同士でもあった。
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シルヴィによって“在り続ける者”が倒された後は、アニメーションの時計型AIのミス・ミニッツと行動を共にする。実はレンスレイヤーも記憶を消された変異体で、かつては“在り続ける者”の優秀な右腕だったことがミス・ミニッツより明かされると、自身でTVAの権力を握ろうと画策する野心的なキャラクターだ。
「ロキ」はディズニープラスにて独占配信中。
映画『マーベルズ』
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1990年代、地球で優秀な空軍パイロットだったキャロル・ダンヴァース(ブリー・ラーソン)が、記憶を失った代償に四次元キューブ(スペースストーン)のエネルギーを浴びてアベンジャーズ最強クラスのパワーを持つキャプテン・マーベルに覚醒。『エンドゲーム』ではサノスとほぼ互角に戦い、大ピンチだったアベンジャーズの形勢を逆転させた。
以後、宇宙を駆け回り様々な星を救ってきたが、よかれと思っての正義の行動が結果的にクリー人が暮らす惑星の運命を変えてしまい、クリーの最高司令官ダー・ベンから恨みを買い“破壊者”と呼ばれて復讐のターゲットとなる。
カマラ・カーンことミズ・マーベル(イマン・ヴェラーニ)はそんな中で出会った、アベンジャーズオタクの高校生ヒーロー。祖母から贈られた腕輪(バングル)の力により光を実体化する能力が目覚め、家族や地元ジャージーシティの危機を救った。
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彼女のバングルはもともと対で、片方のバングルを手に入れたダー・ベンがパワーを発動したことで、憧れのキャプテン・マーベル、モニカ・ランボーと“入れ替わり”現象が発生。3人はチームを組んで、ダー・ベンに立ち向かうことになる。
モニカ・ランボー(テヨナ・パリス)は、キャロルの親友で同じく空軍パイロットだったマリアの娘。『キャプテン・マーベル』でキャロルを慕っていた少女、“おチビ中尉”が成長した。宇宙ステーションS.A.B.E.Rでニック・フューリーと働いていたところ、“入れ替わり”現象をきっかけに30年ぶりにキャロルと再会する。
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「ワンダヴィジョン」で描かれたワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチがつくり出した結界をくぐり抜けたことで、パワーが覚醒。キャプテン・マーベル、ミズ・マーベルとチームワークを高めながら共闘したが、別の時空ヘの入口を身を挺して閉じると、その世界に取り残されてしまう。その世界では、MCUを揺るがす“意外な人物たち”と対面。今後の展開に期待が持たれている。
―番外編「ホワット・イフ...?」シーズン2も登場―
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「アイアンマンや、キャプテン・アメリカをはじめとしたアベンジャーズたちに、もしも別の運命が待っていたとしたら…?」というテーマで、MCUで実際に起こった出来事をベースに“もうひとつの物語”を描くアニメシリーズ。キャプテン・マーベルやガモーラ、ネビュラ、ワンダ、トニー・スタークたちの映画やドラマでは観たことのない物語が展開する。
「ホワット・イフ...?」はディズニープラスにて独占配信中。
2024年最新ドラマ「エコー」
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そして2024年配信1作目は、圧倒的な運動能力を持つ耳の聞こえない女性が主人公のドラマ「エコー」から幕を開ける。「ホークアイ」に初登場し、裏社会のマフィアを率いてホークアイやケイト・ビショップと闘いを繰り広げたエコーことマヤ・ロペスだ。
演じるアラクア・コックス自身も役柄同様に聴覚障がいを持ち、また彼女以外にも役と同じくネイティブアメリカンのルーツを持つ俳優たちが多数出演。裏社会を牛耳る犯罪王キングピンとの関係性やダークな世界観、「ホークアイ」でも定評のあったオリジナリティ溢れるアクションシーンは注目を集めそうだ。
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「エコー」は2024年1月10日(水)よりディズニープラスにて一挙配信(全5話)。
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〈提供:ウォルト・ディズニー・ジャパン〉