数々のヒットドラマに出演してきた人気スター、チ・チャンウク、「イカゲーム」でいま世界が注目するウィ・ハジュン、さらに「女神降臨」「天気がよければ会いにゆきます」などの話題作に出演するイム・セミらが豪華共演する韓国クライムアクション・ドラマ「最悪の悪」が、ディズニープラス スターにて9月27日(水)より配信される。
記録的ヒットとなった「カジノ」「ムービング」と勢いに乗るディズニープラスオリジナル韓国ドラマの最新作は、Kエンタメの“顔”というべきノワールジャンルの血脈を受け継ぎ、新章を紡ごうとしている。
地縁でつながる新興ギャングが物語の中心に
本作の舞台は1995年の韓国、ソウルの江南。悪名高い国際麻薬密売組織を探るために潜入捜査官となる警察官パク・ジュンモをチ・チャンウク、その犯罪組織・“江南連合”のリーダー、チョン・ギチョルをウィ・ハジュン、ジュンモの妻で同じく警察官のユ・ウィジョンをイム・セミが演じている。
江南といえば、ソウルの中心を流れる漢江の南側、セレブが暮らす超高級高層マンションが建ち並び、流行発信スポットがひしめく地区。これまで多くのドラマや映画で財閥の諍いや過熱する受験競争などが描かれてきたが、イ・ミンホとキム・レウォン共演の映画『江南ブルース』(2015)では1970年代、それまで田畑だった江南の土地が売買され“新しいソウル”ができるまでの裏社会が描かれていた。
そんな都市開発から20年余、本作ではギチョル率いる新興ギャング、“江南連合”はこの地で育った貧しい若者たちが血のつながりよりも濃い連帯で結束し、“俺たちの江南”でのし上がろうとしている。その資金源が、日本にも流れているという純度の高い麻薬というわけだ。
ギチョルの仲間たちは、彼に「地獄の果てまで着いていく」という。カリスマ性があり喧嘩の強いギチョルの周りには、おそらく受験競争とは無縁の居場所のない少年たちが自然と集まってきたのだろう。地元の高校卒業後の“進路”、行きつく先の1つであり、財閥の御曹司を小突くことのできる道でもある。
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そんな、“江南連合”に潜入するため、チ・チャンウク演じるジュンモは、ギチョルの同級生で腹心だったクォン・テホ(『犯罪都市 THE ROUNDUP』の後輩刑事役チョン・ジェグァン)の“従兄弟クォン・スンホ”と名乗り、彼ら特有の仲間意識や義理堅さをいわば利用する。従兄弟の仇を討つといって江南に乗り込んできた“スンホ”ことジュンモをよそ者として疑う目はあるものの、彼はすぐにその腕っぷしの強さを見込まれて仲間に引き入れられた。
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ジュンモがこの危険な潜入捜査を決めた理由は、昇進のためだ。彼の階級は警長、日本でいうところの巡査長で、警察官一家に育った生粋の警察エリートである妻のウィジョンよりも階級が低く、父親は薬物依存症、母親については語られもしない。ソウル警察庁の保安課に栄転になったばかりのウィジョンとその家族に対して大きな負い目がある。
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そして、ウィジョンも兄に向かって「女性も警察大学に入れたなら、今頃、私も幹部だった」と声を上げるシーンがあり、警察という男社会で生きる女性として彼女もまた一家の中で肩身の狭い思いをしてきたようだ。
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しかし、ジュンモが潜入してまもなく、妻ウィジョンとギチョルとの意外なつながりがわかる。冷徹で野心がたぎるギチョルが唯一柔らかな表情を見せるのは、常に身につけているウィジョンと同じ十字架のネックレスを見つめるときだけ…。この辺りの微妙な関係性によって事態は拗れ、潜入捜査の行方を左右することにもなりそうだ。
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Disney+「最悪の悪」視聴ページ
『新しき世界』『ハント』製作陣による新しいノワール
第1話の冒頭は、“江南連合”の事務所での血なまぐさい乱闘から幕を開ける。そこにウィジョンの手を引いたギチョル、そして“スンホ”ことジュンモが現れ、乱闘に加わっていく。物語がこのオープニングにどうつながっていくのかは期待が高まるところだが、このシーンはパク・チャヌク監督の『オールドボーイ』から『アシュラ』、最近では『ただ悪より救いたまえ』などに脈々と続く、韓国ノワールエンターテイメントの“お約束”。
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動きが制限される狭い場所で、ギャングたちが人口密度高めに闘うシーンは見ごたえ十分だ。本作でも大人数が入りまみれ、血しぶき飛び散るアクションシーンが始まりから容赦ない。廃れたホテルや潰れたロックカフェなどのロケーションも、チ・チャンウクらが身体を張って挑むアクションに極みをもたらしている。
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本作を製作したのは、潜入捜査ものの傑作とされる『新しき世界』(パク・フンジョン監督/2013)から、『アシュラ』『華麗なるリベンジ』など、ひと筋縄ではいかない韓国ノワールに定評があり、イ・ジョンジェの初監督作『ハント』(2022)なども手掛ける「サナイピクチャーズ」と、近年秀作を次々送り出している「バラムピクチャーズ」。サナイピクチャーズの代表ハン・ジェドクは『オールドボーイ』にも携わった、韓国ノワールファンなら知る人ぞ知る存在である。
監督のハン・ドンウクはサナイピクチャーズの『生き残るための3つの取引』(リュ・スンワン監督/2010)、Netflixシリーズ「ナルコの神」のユン・ジョンビン監督による『悪いやつら』(2012)、そして『新しき世界』と錚々たる作品で助監督を経験してきたが、自ら脚本・監督を務めた『傷だらけのふたり』(2014)は原題が『男が愛する時(Man In Love)』であるように生きづらさを抱えた者のラブストーリーだった。
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また、脚本はソン・ガンホ×カン・ドンウォンの『義兄弟 SECRET REUNION』やドラマ「名もなきヒーロー」などを手掛けているチャン・ミンソクであり、チ・チャンウクとウィ・ハジュンの“義兄弟”のドラマも期待できそうである。
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“アジアの貴公子”と呼ばれるほどクリーンなイメージのあるチ・チャンウクは、拳を振り回し、凄みをきかせ、精悍な顔立ちがみるみるうちに血まみれになる。新境地とひと言で片付けてしまうには恐れ多いほどの狂気すら感じさせ、見事にノワールに染まっている。多くを語れず潜入のプレッシャーに耐える姿や、“江南連合”でコンビを組む下っ端のヨンデとのやりとりは、『インファナル・アフェア』のトニー・レオンをちらりと思い起こさせた。
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また、「イカゲーム」では兄の行方を一心に探す刑事、「シスターズ」ではスマートな財務担当を演じていたウィ・ハジュンに、江南でのし上がる若きギャングがこれほどハマるとは。普段はクールだが、同志愛に熱く、キレたときの振り幅や闇社会で生きる者の悲哀を醸す色気は登場するたびにゾクゾク。彼にオファーが途切れることがない理由がよく分かる。
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イム・セミが演じているウィジョンも、困難の中で自分の意志で立ち上がろうとする女性である。
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最近は映画監督や俳優たちが進出した配信ドラマの勢いが目覚ましいが、先に挙げた作品のほとんどに出演しているファン・ジョンミンをはじめ、チェ・ミンシク、ハ・ジョンウ、イ・ジョンジェといった大物俳優たちの名前は本作にはない。唯一とも呼べる“おなじみ”の俳優は、『生き残るための3つの取引』や『アシュラ』『ハント』などに出演しているチョン・マンシクぐらいだろう。
多くのファンの心を掴んできた韓国ノワールの流れを受け継いだ仁義と狂気、バイオレンス度の高い本作で、新しいスターたちがどのように人間味をさらしていくのか、その新鮮みこそが見どころとなっている。
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「最悪の悪」は9月27日(水)より初回一挙3話、4話以降は毎週水曜2話ずつディズニープラス スターにて独占配信開始(全12話/最終週は3話一挙配信)。
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