是枝裕和監督が率いる「分福」に所属する気鋭の新人監督・川和田恵真監督による商業映画デビュー作『マイスモールランド』の凱旋上映記念舞台挨拶が、2月13日に新宿ピカデリーにて開催され、川和田監督と主演の嵐莉菜が登壇。サプライズで是枝監督も登場した。
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川和田監督は「この映画が公開した時(2022年5月)に、ここ(新宿ピカデリー)で舞台挨拶をさせていただきました。観ていただいた皆さんのお蔭でこうして再上映することができて、本当に嬉しく思っております」と感無量の様子で、「公開から時間が経った中でも、映画を作って伝えることの大切さを、日々感じることができています」と挨拶。
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また、本作の主人公で、自分の居場所(アイデンティティ)に葛藤しながら成長していくクルド人の少女・サーリャを演じ、映画初出演にして初主演を務めた嵐さんは、「山路ふみ子映画賞」をはじめ、「報知映画賞」「毎日映画コンクール」「キネマ旬報ベストテン」「高崎映画祭」などで数々の新人賞を受賞。
再び川和田監督と一緒に舞台に立った嵐さんは「想像以上の反響があり、映画賞を受賞できることも想像していなかったので、評価していただけたことがとても光栄で、こんなに幸せなことはないです」と笑顔でコメント。
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「『マイスモールランド』で、お芝居の基礎から、クルドの文化まで、たくさんのことに触れてきて、たくさんの学びを得た」という嵐さん。モデルとしても活躍する彼女だが、本作への出演を通して感じた俳優としての醍醐味について「自分が他の役になりきるというところだけじゃなく、役を通して、いろいろなことを学べることに、すごく魅力を感じました」と明かした。
嵐莉菜、釜山国際映画祭が思い出に「すばらしい光景を見られた」
嵐さんとは本作のオーディションで初めて会ったという川和田監督。「最初、会う前に思っていた、すごく華やかな子だなという印象は今も変わっていないんですけれど、さらに一緒に過ごした時間の中で、こんなに気さくな子なんだなと分かって。いろんなことで笑い合える関係になれたのは嬉しいです」とコメント。
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「そして何より、やっぱりお芝居になったときに見せてくれる表情ですね。お芝居では、会う前に想像していたのとはまったく違う強い魅力を見せてもらえたなと思っています。莉菜さんのお芝居を信じて、一緒に最後までいくことができました」と嵐さんの芝居への大きな信頼を口にした。
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世界各国の国際映画祭に出席してきた中で、「各地でたくさんの出会いがあって。場所は違っても、描いている物語の核となる部分では、言葉を超えて伝わることができるんだと思った」と語る川和田監督。
「釜山国際映画祭では、莉菜さんと2人でレッドカーペットを歩いたことが一番の思い出」との監督の言葉に、嵐さんも「韓国の方々がすごく温かく優しい笑顔で迎え入れてくれて。Q&Aでは、とても集中して、大切にこの作品を観てくださったんだなぁと感じる質問もたくさんいただけました。すばらしい光景を見られたので、連れて行ってくれた監督には感謝しています」とふり返った。
是枝監督「時間がかかったことによって、この作品が嵐さんと出会えた」
本作『マイスモールランド』は川和田監督が所属する「分福」の企画会議から始まり、是枝監督からの応援もあって実現した作品。舞台挨拶の途中に登場し、2人に花束を手渡した是枝監督は、「こんなふうに凱旋で上映をしていただけるというのは、なかなかないこと。まず何よりもこういう形でまたお客さんに観ていただける機会をもらえるということが、作品にとっても、キャスト、監督、関係者にとっても、本当に嬉しい出来事。おめでとうございます」と祝いの言葉を贈る。
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すると嵐さんは「びっくりしました......なんだか泣きそうになってしまって......。是枝監督とは釜山国際映画祭でもお会いしたんです。またお会いできる機会があって、すごく嬉しいです」と思いがけぬサプライズに目をうるませるひと幕も。
「本当に企画の最初から是枝監督が応援し続けてくれたおかげで、5年以上かかったんですが、実現することができました。本当にありがとうございました」と感謝を伝える川和田監督。
是枝監督は「ずいぶん時間がかかったので、もっと早くできれば良かったなぁとは思っているんですけど、考えようによっては、時間がかかったことによって、この作品が嵐さんと出会えたというふうにも考えられる。やっぱり、そういう出会いに恵まれて、生まれるべきタイミングで生まれた作品が強い作品なんですよね」と力説、「そういう意味では、この作品は本当に強い、いい映画になったんじゃないかなと思っています」と応えた。
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さらに是枝監督は、映画界での大きな一歩を踏み出した2人に「デビュー作で、これだけ注目を集めるというのは、もちろん本当に作品がすばらしいこともありますが、いろんな人の縁に恵まれていただいている評価だと思います。この次だよね。2人とも、今回の受賞がピークじゃない形で、この先のキャリアを重ねていってほしいと思っています。一作一作、前へ進んでください」とエール。
川和田監督は「この映画作りを通して、とても大きなものを自分自身もらったので、今度それをまたどう次につなげて作っていくかということを、これから考えていきたいなと思います」と抱負を述べつつ、「本作は自分にとって、これが最初で最後になっても絶対に作る! という思いを持ってきたものです。この作品をもっと届けたいという気持ちも強いので、まだまだ多くの人に伝えていきたいなと思っています」と本作への熱い想いを吐露。
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そして嵐さんは「川和田監督と皆さんと作り上げた作品が、こうして大切に長く興味を持っていただけることが何より幸せ。自分にとって、本当に人生が変わった大切な作品です。川和田監督とまたこの場に立てるように、私もがんばっていきたいなと思っています」と、こみ上げる想いに涙ぐみながら展望を語っていた。
『マイスモールランド』は2月24日(金)まで新宿ピカデリー、MOVIX川口、なんばパークスシネマにて2週間限定凱旋上映中。
価格:Blu-ray特装限定版:6,600円(10%税込)/¥6,000円(税抜)
DVD:4,180円(10%税込)/3,800円(税抜)
発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス
※特装限定版は予告なく生産を終了する場合がございます。