アジアを中心に世界から新進気鋭の監督たちの作品を集め、どこよりも早く、ここでしか観られない注目作品が紹介される国際映画祭「東京フィルメックス」。第22回目を迎える今回のラインアップが発表された。
今年は、「東京フィルメックス・コンペティション」10作品、「特別招待作品」9作品、「メイド・イン・ジャパン部門」4作品、「プレ・オンライン配信」3本が予定されている(10月6日時点)。
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東京フィルメックス・コンペティション部門には、ジョージア、イスラエル、レバノン、インドネシア、タイ、カンボジア、中国、日本の8か国からアジアの多様で新しい風が吹きこむ作品が集まった。オープニング作品は、『ドライブ・マイ・カー』で第74回カンヌ国際映画祭脚本賞ほか4冠に輝いた濱口竜介監督の『偶然と想像』、クロージング作品には、ジョアナ・ハジトゥーマ&カリル・ジョレイジュ監督による『メモリー・ボックス』が決定。
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そして、今年は新たに「メイド・イン・ジャパン部門」を設立、公開が待機している日本映画の中から選りすぐりの作品を上映する。
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開催前には「プレ・オンライン配信」も実施、今年のフィルメックス・コンペティションに選出されている3名の監督のフィルメックスで過去紹介された作品を鑑賞できる。また、映画祭閉会後からは期間限定で、今年のラインアップ作品を鑑賞できる「オンライン上映会」も予定されている。
今年新たにプログラム・ディレクターに就任した神谷直希は「これまで十数年に渡り、作品選考に関わる業務に携わってきた。作品の出品交渉やゲスト招聘、字幕準備作業など、フィルメックスの作品選考から作品を送り出す部分に深く携わってきた」と同映画祭と共に歩んできたバックグラウンドに触れ、「良い部分は継承していくべきで、またアジアの映画祭として、アジアの作品を紹介していくという意義も担っていきたいと思っている」と就任に至った経緯を話した。
「今年も東京国際映画祭と同時期開催になっているが、棲み分けと相乗効果は可能だと思っており、ラインアップを見てもそれは言えると思っている。今年のラインアップについては、パンデミックの状況を鑑みつつ、できることはやり尽くした」と第22回への意気込みを語った。
なお、期間中には、NPO法人独立映画鍋との共催によるオンラインシンポジウム「映画と労働2 世界の撮影現場とハラスメント対策」も企画。各国の製作現場におけるより具体的かつ新しい労働環境の改善策、およびハラスメント対策について、国内外のゲストを招き議論を展開し映画の安全な撮影現場を作る方法を探っていく。
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今年の映画祭メインビジュアルも解禁され、今年デザインを担当したのは、小林一毅氏。昨年、東京フィルメックへ協賛、スタッフTシャツを制作した、STILL BY HAND(ハンドクラフト感を大切にしたコンセプトのメイドインジャパンブランド)を運営するスタイルデパートメントの須山博加氏が手掛けた。須山氏はかつて、東京フィルメックスでボランティアスタッフの経験があり、ゆかりある映画祭へ昨年に続いての参加となった。
さらに、今年も10月30日(土)~11月8日(月)「第34回東京国際映画祭」と同時期の開催、また東京国際映画祭のメイン会場が新たに日比谷・有楽町エリアになったことで、一帯がまさに“映画の祭典”で盛り上がることへの期待も高まっている。
「第22回東京フィルメックス」は10月30日(土)~11月7日(日)、有楽町朝日ホール(メイン会場)/ヒューマントラストシネマ有楽町(レイトショー会場)にて開催。