2019年、釜山国際映画祭のクロージングを飾りクィアカメリア賞を受賞、2020年には青龍映画賞で監督賞、脚本賞の2冠に輝いた『ユンヒへ』が、2022年1月7日(金)より待望の日本公開が決定した。
本作は、韓国の地方都市で暮らすシングルマザーのユンヒが、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性から1通の手紙を受け取ったことから始まるラブストーリー。母の手紙を盗み見てしてまった高校生の娘セボムは、自分の知らない母の姿をそこに見つけ、手紙の差出人である日本人女性ジュンに会う決心をする。セボムに強引に誘われるかたちで、北海道・小樽へ旅立つユンヒ。それは、二十年前の自分と向き合う、心の旅でもあった――。
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監督は、本作が長編2作目となる新鋭のイム・デヒョン。岩井俊二監督の『Love Letter』にインスパイアされたと語り、ロケ地を北海道・小樽に選び、2人の女性たちが心の奥にしまってきた恋の記憶を描き出す。登場人物の心情に優しく寄り添うような小樽の美しい冬景色と、ミステリアスに紡がれるユンヒの恋。2人が離れた20年前に、一体何があったのか? 控えめな言葉と降り積もる雪に隠されながらも、物語が進むにつれて少しずつ2人の思いが輪郭をあらわしていく。
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主人公のユンヒを演じるのは、長年ドラマや映画で活躍し、昨年韓国で放送された大ヒットドラマ「夫婦の世界」では数々の賞も受賞したベテラン俳優のキム・ヒエ、日本人女性ジュンに『野火』や『ストロベリーショートケイクス』の中村優子。ユンヒの娘セボムに元「I.O.I」のキム・ソへ、セボムのボーイフレンドに元「B Of You」のソン・ユビンが起用された。
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東アジアにおける中年女性たちの同性愛と、彼女たちが経験してきた抑圧を真摯に描き出しており、『82年生まれ、キム・ジヨン』や『はちどり』に続く、ジェンダーやフェミニズムをテーマにした傑作である本作は、韓国のLGBTQ+コミュニティや女性たちから熱狂的な支持を受け、2019年の釜山国際映画祭ではセリーヌ・シアマ監督『燃ゆる女の肖像』やグザヴィエ・ドラン監督『マティアス&マキシム』といった作品が顔を並べる中、クィアカメリア賞を受賞。
同映画祭の審査員からは、「久しぶりに映画を見て、胸躍る経験をした。それが韓国で作られた女性たちの愛の物語を描いた映画だからなおさらだ」と絶賛された。なお、日本では2020年11月、第6回大阪韓国映画祭にて同タイトルで上映され、熱狂的に迎え入れられた。
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イム・デヒョン監督は「韓国と日本の女性は確かに違います。しかし、男性中心的な社会秩序が強固に成立した国で生きてきたという点では似ていると思いました。『ユンヒへ』で東アジアの女性たちが互いに連帯し、愛を分かち合う姿を見せたかったのです」と語っている。
『ユンヒへ』は2022年1月7日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。