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パリからわずか15kmほどの郊外の街モンフェルメイユに、新人警官として赴任してきたステファン(ダミアン・ボナール)。犯罪防止班としてチームを組むことになった2人の警官からパトロールがてら街のことを教えてもらうことに。この街には世界各地からの移民やかつての犯罪者などが溢れ、混沌そのもの。
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バス停でタバコを吸っている少女を見つけたベテラン警官のクリス(アレクシス・マネンティ)は、「突撃しろ、新入りの教育だ」と車をUターンさせる。今回解禁となった本編映像が捉えるのは、クリスによる少女への行き過ぎた取り締まりの様子を捉えたもの。
少女たちに歩み寄ったクリスは落ちていたタバコを拾い、煙を少女に吹きかける。さらには、その手のひらに鼻を近づけハシシ(大麻)のにおいがすると言うと、彼女の身体検査を始めようとする。少女は「令状は?」と反論するが、クリスの口撃は止まることはなく、“警官の横暴”を映像に収めようとした別の少女のスマホを取り上げ、叩き壊してしまう。ステファンは「もうやめろ」と言うのが精いっぱい、クリスの余りに過激なやり方に言葉を失うしかなかった…。
本作のラジ・リ監督は、どんな人に対しても先入観や偏見を持たないようにしているといい、その理由として、「なぜなら現実はいつも複雑だからです。どちらの立場にも善と悪があり、私はそれぞれの登場人物を偏見なく描くよう心がけています」と語る。
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また、この警官のクリスという人物について、「クリスは本当にイヤな奴ですが、どこか人間味があるところを描きたかったんです。アレクシスが見事に演じてくれたので、憎たらしい一面があるキャラクターであっても観客は次第に彼に感情移入していけるのではないかと思います」と明かしている。
この場面でのクリスの取り締まりは確かにやり過ぎ、横暴ともいえるが、一方では「タバコは体に悪い」と告げるだけで少女たちを見逃したのも事実。異なる派閥や様々な危険がはらむ、“誰も正しくない”この街の治安を守り、警官として威厳を持ち続けるための、クリスなりの考え方が表れたシーンとなっている。
『レ・ミゼラブル』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。