雨のことは気にしないようにして、今朝は上映が8時半からなのでメイン会場に直行。コンペ部門に出品のカナダの異才ドゥニ・コテ監督新作“Ghost Town Anthology”(写真)。このブログの「コンペ予習編」では、ドゥニ・コテ監督のことをざっくりと自然派と紹介したけれど、本作は自然派を通り越して超自然派の領域に入り、ゴースト・タウンを舞台にしたゴースト・ストーリーだった!
上映終わって速攻で移動し、12時半から同じく「フォーラム」部門で“What We Left Unfinished”という作品へ。監督はアメリカ人の女性で、アフガニスタンの現代の映画史をふり返るドキュメンタリー。社会主義革命からソ連侵攻に至る80年代~90年代にアフガニスタンの映画は苦難の時代を過ごし、破壊されたフィルムが無数あれば未完に終わった撮影もたくさんある。関係者の証言を織り交ぜ、政治に翻弄されるアフガンの映画史が語られる…。失われた映画の記憶と記録は、どうしてここまで映画ファンの胸に突き刺さるのだろう。とても貴重な作品だ。
21時に上映終わり、メイン会場に移動して、本日6本目はコンペの“A Tale of Three Sisters”というトルコのエミン・アルペル監督新作へ。「予習ブログ」に書いたように、監督の前作『錯乱(Frenzy)』は都会を舞台にした社会派ドラマであったのに対し、今作は遥か山間の村に暮らす一家の3人姉妹の物語。社会派というよりは文芸ドラマの趣であるものの、それでも現代性は兼ね備えており、アルペル監督の懐の広さはやはり面白い。