いまは亡き伝説の名女優の娘として卓越した演技力を備えながらも、容姿の醜さから孤独に生きてきた累(かさね/土屋太鳳)が、母が遺したキスした相手の“顔”を奪うことができる不思議な口紅を使い、美しきニナ(芳根京子)と顔を入れ替え、女優として羽ばたいていくさまを描き出す。
■完成した映画を見て「すごいものできた」「言葉にならない」
人気漫画原作の実写映画化に厳しい視線が注がれる昨今だが、本作に関しては原作者の松浦先生が絶賛している。松浦先生は「企画の最初から、(完成作の)試写までのプロセスでのやり取りが信頼できました。基本、(映画をどうするかは)お任せというスタンスでしたが、どうしても原作の譲れない部分もある。それをどうお伝えしようかと思ってたけど、プロデューサーさんがあちらからこちらに聞いてくださって、脚本を練る上でもこちらに連絡をくださいました」と製作陣への信頼を口にする。

そして、完成した作品を初号試写で目にしたが「これはすごいものができたなって思った」と述懐。「その時点で言葉にならず、いまもひと言で言い表せる映画じゃないと思いますが、累とニナをこういう形で描いていただけたこと、演じていただけたことはすごく幸せなことで、試写で見た瞬間のことは、一生忘れられないです」と語る。
■再現率ではなく再構築! 土屋太鳳と芳根京子は原作のキャラと「血液が同じ感じ」
原作の再現率の高さについて問われると「映画に対して私は再現を求めていないので、“再構築”という言葉を使わてもらっています」と断った上で、土屋さんと芳根さんについて「女優さんが役を演じる上で当たり前かもしれないけど、原作とは違う顔の作りをしていて、漫画のデザインとは違うけど、映画を見たときに累とニナだなって思った。『魂が同じ』と言うとクサいけど、『血液が同じ』というか、すごくいい再構築をしていただきました」と熱く語った。

最初に映画を見た段階では、原作の連載は最終話を迎えていなかったが「(原作を)描く上ですごく刺激になりました」と語り、「相互に影響というか、私の作品を基に映画化されているけど、その映画に触発されて(漫画を)描いてる部分があった。(累とニナの)表情を描いてると、土屋さん、芳根さんに見えたりすることもあった」と明かした。
■横山裕と土屋太鳳のキスシーンに「もっと求めるキスを!」と熱く演出!

佐藤監督は物語のカギとも言えるキスシーンの撮影、演出に言及。顔を交換するための土屋さんと芳根さんのキスに加え、横山裕が演じた舞台演出家の烏合と土屋さん演じる累のキスシーンもあるが「1回、本番やってみたら、意外とサラッとしてて『それはないでしょ! 横(=横山さん)、もうちょっと行くでしょ』と言いました」と横山さんを煽ったと告白。「(烏合が累を)求めるようなキスをやって! と言ったんですが、横山くんの中にも『俺、こういうキスするんだ?』という発見があったみたいです(笑)」とその場にいない横山さんの想いを代弁(?)して、客席からは笑いが起こっていた。
『累 -かさね-』は9月7日(金)より公開。