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しかし、と言うべきか、もちろん、と言うべきか。不可解な依頼には裏があり、マイケルはどんどん追い詰められ、巧妙に仕組まれた陰謀に巻き込まれていく。「スリラーとは、よくよく考えると無理のある展開だったりもするもの」と自ら愛あるツッコミを入れるリーアム。「家に帰って冷蔵庫を開けた瞬間、『待てよ。あのシーン、おかしくなかったか?』となるんだ」と、大真面目な顔をして語る姿がチャーミングだ。「けれど、観ている間はそういったことを考えさせず、物語というアトラクションに乗っているかのような感覚をもたらすのが優れたスリラー。『トレイン・ミッション』はまさに、そんな作品だと思う。僕たちが大事にしたのは、観客がマイケルと共にリアルタイムで展開を体験すること。何かをするのも、何かを見つけるのも、観客とマイケルは一緒だ」。
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「僕たち」に含まれる1人はもちろん、監督のジャウマ・コレット=セラ。『フライト・ゲーム』などで組んできたコレット=セラとは今回が4度目のタッグとなり、いまや「言葉でのコミュニケーションが必要ない関係」だという。「彼を100%信頼しているから。リハーサルもほとんどしないし、ときには1テイクで済むこともある。僕にとって彼は素晴らしいダンスパートナーのようなものだね」。
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ただし、そんな両者がとことんリハーサルを重ねたのが、やがて列車の中で繰り広げられるアクションシーンだ。「列車内のシーンはイギリスのパインウッド・スタジオで撮影したのだけど、『スター・ウォーズ』のどのエピソードだったかがクランクアップしたばかりでね。スタジオがちょうど空いている時期だった。だから、実際の撮影とは別に、アクションをシミュレーションするための場所にも恵まれたんだ。日中は撮影を行い、夜はアクションチームに合流してファイトシーンを練る。その繰り返しだったね。そして何度もリハーサルを重ね、目隠しをしてもできるほどまで精度を上げる。ただし、目隠しをしてもできることを、撮影では初めてのことのように見せなくてはいけない。それこそが難しく、同時に楽しいことでもあるんだ」。
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劇中のマイケルは60歳。リーアム・ニーソン自身は65歳。激しくリアルなアクションは「体にいいことをしようと努めている」という日常生活の賜物。「パワーウォーキングが好きで、自宅には小さなジムもある」そうだが、アクションのためだけに体作りを行っているのではなく、「体調管理は俳優が当然すべきこと」と言い切る。「特に主演となると、スタッフやキャストにとっての良きお手本でなくてはならない。時間に遅れない。病気にならない。休憩をきちんと取る。肉体的な準備を怠らない。そのためにはスタミナが必要であり、水泳、ジョギング、ウォーキング…何でも構わないが、やり続けることが大事。映画は莫大な製作費をかけて作られるものだからね。それに対して僕たちは責任を持たなくてはならない」。
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「良きお手本でありたい」。瞳と同じくらい魅力的な低音の声で放つ一言の裏には、「俳優でいられるのはすごく恵まれていて、運のいいこと」という想いがある。
「僕が生まれ育ったアイルランドの小さな町では、町から出なければ教師になるか、工事現場で働くか、農家になるか。それくらいしか選択肢はなかった。それなのにいまの僕は世界中を旅し、君たちにも会える。すごくラッキーだし、そもそも映画を作れることほど幸せなことはない。だから、自分が恵まれた立場にあることを決して忘れないようにしたいんだ。撮影現場でも、その気持ちはもちろん変わらないね。僕たちは何も難解な研究をしているわけじゃない。かつてクリント・イーストウッドがこう言っていたよ。『立ち位置まで歩いて行き、台詞をいくつか言う。それだけのことだ』とね。恵まれた仕事だからこそ、それを祝福する気持ちでいたい。映画を一緒に作る仲間たちと素晴らしい時間を過ごしたいんだ。撮影現場で機嫌が悪くなったり、憂鬱な態度を見せるのは失礼なこと。僕はそうならない自分であり続けたいと思っている」。
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